【ソウル=名村隆寛】ソウル中央地裁は9日、韓国最大の企業グループ、サムスンの経営トップである李在鎔(イ・ジェヨン)サムスン電子副会長(51)による不正会計疑惑で、検察の逮捕状請求を棄却した。
地裁は、「逮捕の必要性と相当性の疎明が不十分」としており、李氏の責任の有無などは、「裁判の過程で十分な審理を経て決定するのが妥当」としている。
李氏は2015年のグループ傘下企業の合併や、グループ経営権継承をめぐり不正があったとして、元幹部2人とともに逮捕状が請求されていた。
李氏は、朴槿恵(パク・クネ)前大統領の在任中に賄賂を渡した罪などで17年に逮捕・起訴され、現在、公判中。18年に2審判決で執行猶予付きの判決が言い渡され、釈放された。
サムスンは7日に、長期捜査で「経営が萎縮している」と李氏らが経営に専念できるよう望む旨の声明を発表しており、経営へのさらなる悪影響はひとまず避けられた形だ。