4月機械受注 設備投資意欲が大幅減、アベノミクス以前の状況に


 内閣府が10日発表した4月の機械受注統計(季節調整値)は、民間設備投資の先行指標となる「船舶・電力を除く民需」の受注額が前月比12・0%減の7526億円で、2カ月連続のマイナスだった。基調判断は「足踏みがみられる」から「足元は弱含んでいる」と6カ月ぶりに下方修正。「弱含み」の表現を使ったのは安倍晋三政権の経済政策アベノミクスが始まる直前の平成24年11月以来だ。

 受注額の水準は消費税が8%に増税された影響を受けた26年5月以来の低さだった。マイナス幅は市場予想(8%台の減少)を上回った。新型コロナウイルスの感染拡大で、生産活動の停止や資金繰り悪化に見舞われた企業が新規投資の発注を抑制したとみられる。

 4月の船舶・電力を除く民需のうち、非製造業は20・2%減の4063億円と比較可能な17年度以降で最大の減少率を記録した。業種別では前月に鉄道車両の大型受注があった運輸業・郵便業が61・0%減。通信業が36・9%減など。人手不足による省力化投資が底堅かった非製造業だが、サービス業を中心に投資意欲が大きく後退したようだ。

 製造業は2・6%減の3342億円。繊維工業が48・5%減、非鉄金属が46・2%減などとなった。

 8日発表の1~3月期の国内総生産(GDP)改定値は設備投資の底堅さから上方修正されたが、4月に発令された緊急事態宣言の甚大な影響が改めて浮き彫りになった形だ。農林中金総合研究所の南武志主席研究員は「宣言解除後も売り上げの回復は見込めず、5月以降の減少幅は一段と拡大する」と指摘している。

 機械受注は主要機械メーカー約280社が受注した設備投資用機械の受注額を集計したもので、企業の設備投資の先行きや増産意欲をみる代表的な先行指標。



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