【マーライオンの目】爆音工事…非常階段で書く原稿

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通勤時間帯、人通りが少ないシンガポールの金融街=2日(共同)

通勤時間帯、人通りが少ないシンガポールの金融街=2日(共同)

 シンガポールでは、新型コロナウイルスの流行に伴う外出制限措置「サーキットブレーカー」が1日深夜で終了した。制限措置が終了したとはいっても、在宅勤務の要請やレストランでの店内飲食の禁止は続いており、日常生活にほとんど変化はない。リー・シェンロン首相は7日、「これからの数年間は私たち全員にとって困難な時期になるだろう」と話し、新型コロナとの戦いは長期戦になることを改めて強調した。

 ただ、一部の工事が再開可能となったためか、記者が住むマンションの上階の空室でリフォーム工事が始まった。床の石材をドリルで削る爆音が朝から響き渡り、在宅勤務どころではない。工事会社に何とかならないかと、連絡したが、先方は「新型コロナの影響で作業が長らく止まり、クライアントから早く再開するよう注文を受けている」と、続行の構えを見せる。なおも食い下がると、「私たちもあなたも新型コロナの被害者だ」と、妙な論法で慰めようとしてきた。

 どこかに避難しようと思ってもカフェも閉まっており、逃げようがない。仕方なくこの原稿はマンションの非常階段で書いている。電源もなく、パソコンの充電も心もとない。“困難な時期”がどれほど続くか定かではないが、コロナ禍の早期収束を願うばかりだ。(森浩)

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