【国際情勢分析】トランプ氏、宇宙でも「米国第一」 コロナやデモの逆風下で成果アピール

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5月30日、米南部フロリダ州のケネディ宇宙センターで有人宇宙船の打ち上げを受けて演説するトランプ大統領(ロイター)

5月30日、米南部フロリダ州のケネディ宇宙センターで有人宇宙船の打ち上げを受けて演説するトランプ大統領(ロイター)

 トランプ米大統領が宇宙分野での「米国第一」を掲げ、存在感を示そうと躍起になっている。宇宙軍の創設や有人の火星探査計画などを推し進め、強い米国を国内外にアピールしている。宇宙分野の主導権争いでは、開発競争を繰り広げてきたロシアだけでなく、軍事力拡大を図る中国が技術力を急速に高めていて、米国が持つその優位性を維持するためには多額の資金確保が課題となる。(外信部 坂本一之)

 「米国は世界のリーダーの座を再び手にした。宇宙で2番手ならば、地上で1番手にはなれない」

 トランプ氏は5月30日、9年ぶりとなる米国からの有人宇宙船打ち上げ成功を受けて、こう訴えた。新型コロナウイルスの蔓延(まんえん)で苦境に立たされたトランプ氏は、首都ワシントンから遠く離れた南部フロリダ州のケネディ宇宙センターに駆け付けて演説。「米国第一」の実現となる打ち上げ成功をアピールした。

 演説の中では、「これまでの(米国の)指導者は米国人宇宙飛行士の打ち上げを外国に依存していたが、もう終わりだ」と述べ、米国が世界を牽引(けんいん)する姿勢を強調した。

 さらに、昨年12月に陸海空軍などに続く「第6の軍」として発足させた宇宙軍に触れ、「もうすぐ史上最高の兵器もできる。デザインを見た」と指摘。宇宙に関連する軍事力でも中国やロシアに勝っていくことを訴えた。

 また、5月30日に続く有人宇宙船の打ち上げが8月30日にも実施されることが発表された。次の打ち上げ時期についてある米国の宇宙専門家は、「非常に複雑なプロセスで、夏は難しい」と指摘していた。打ち上げ目標を8月末に設定したことは、遅れるリスクを抱えても実現可能な最も早い日程を選んだからだとの憶測も呼ぶ。

 「偉大な米国」を訴えてきたトランプ氏にとって、国民に分かりやすい宇宙関連の取り組みは、11月の大統領選に向けたプラス材料となる。それだけに、大統領選を前にその成果を次々とアピールしようとすることは想像に難くない。

 今回の有人宇宙船打ち上げに先立つ5月15日には、ホワイトハウスの大統領執務室で宇宙軍の旗の披露式を行い、自らその旗をお披露目した。

 もともと宇宙軍はトランプ氏が2018年に創設を指示した組織。「宇宙に米国の覇権を打ち立てなければならない」と語るなど、宇宙でも中露に勝る軍事力を展開して強い米国を実現する姿勢を誇示してきた。

 大統領選に向けて「キープ・アメリカ・グレート(米国を偉大なままに)」とのスローガンも掲げたトランプ氏。新型コロナによる経済悪化や、白人警官の暴行による黒人男性の死亡事件で厳しい立場に立たされる中、宇宙関連の実績アピールは今後も続きそうだ。

 ただ、宇宙軍や民間の力を借りた宇宙開発にしても、米国が露中に対して優位性を確保し続けるためには莫大(ばくだい)な予算が必要となる。大統領選で再選を果たせば、それまでの成果を否定することは難しくなり、むしろ、宇宙に関する取り組みを維持・発展させることが新たな重荷になる可能性もある。

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