新型コロナウイルスの影響で売り上げが減った中小企業などに支給する政府の「持続化給付金」の運営体制に対する批判がやまず、11日の参院予算委でも野党が追及した。根本には、経済産業省から受託した一般社団法人「サービスデザイン推進協議会」が電通に再委託していたことがある。論点をまとめた。
Q 再委託は禁じられているのか
A 経産省は、民間事業者が適正な「履行体制図」を提出することを条件に認めている。今回も、協議会が電通に再委託し、電通が子会社や人材派遣のパソナなどに外注する-という体制を示し、経産省が承認して委託した。
Q 協議会が受託した769億円と再委託の749億円を比べると、「再委託率」は97%と高い
A 経産省は、100%に相当する「全委託」は禁じているが、それ以外に再委託率を制限するルールはないという。担当者は「金額をみると比率は高いが、協議会は全体の工程管理など、中核的な役割を担っている」と強調する。
Q なぜ電通が直接、受託しなかったのか
A 電通の榑谷(くれたに)典洋副社長は8日の記者会見で、「協議会が給付金の経験を持っているので、これを生かした方がいいと思った」と話した。給付に使う巨額の資金が一時的に電通の貸借対照表に記載されることは不適当だと経理部門が判断したとも説明した。
Q 再委託が無駄な支出につながっているのか
A 経産省は委託・再委託の差額20億円について、15億円超が給付金の振込手数料などとする内訳を公表しており、これが正しければ「中抜き」とは言えない。ただ、再委託や外注を繰り返す中で、「チェックが行き届かなくなる」(野党議員)との指摘もあり、梶山弘志経産相は中間検査で詳しく調べる方針だ。