【ワシントン=黒瀬悦成】人種差別解消を訴えるデモが拡大した米国で、南北戦争(1861~65年)で奴隷制維持を目指した南部連合政府の将官らの名を冠した米軍基地の名称を変更する動きが浮上し、トランプ米大統領は10日、改称を認めないとする声明を発表した。
米メディアによると、米国内には陸軍特殊作戦部隊グリーンベレーの本拠地である南部ノースカロライナ州のフォートブラッグ基地を含め、南軍将官の名前が付いた基地が10カ所ある。
これらの名称が黒人差別の歴史を想起させるとの指摘があったのを受け、エスパー国防長官やマッカーシー陸軍長官が改称問題で超党派の話し合いに応じる姿勢を示していた。
しかし、トランプ氏は10日に発表した声明で、これらの基地は「偉大な米国の遺産で、勝利や自由の歴史の一部だ」と指摘し、「政権として改称など一顧だにしない」と強調した。
一方、民主党のペロシ下院議長は10日、議会内にある南軍総司令官のリー将軍を含む南軍将兵の彫像11体を撤去すべきだとする書簡を議会の事務局に送った。
マクナニー大統領報道官は10日の記者会見で、同様の動きが全米で急拡大していることに関し「どこで一線を引くつもりか。奴隷を所有していた(建国の父の)ワシントンやジェファソンも歴史から消去されるべきなのか」と述べ、懸念を示した。
下院の司法委員会では10日、民主党が提出した警察改革法案に関する公聴会が開かれ、白人警官による暴行で死亡したジョージ・フロイド氏の弟、フィロニス氏が証言し、「兄のためにも問題を起こすのではなく解決する警察になるような改革を望みたい」と訴えた。