自民党の河井案里参院議員(46)が初当選した昨年7月の参院選をめぐり、車上運動員に違法報酬を支払ったとして公選法違反罪に問われた案里氏の夫、克行前法相(57)の元政策秘書、高谷真介被告(43)は12日、広島地裁の初公判に黒いスーツ姿で現れた。違法報酬支払いへの関与を一貫して否認しており、3月の逮捕から3カ月以上も保釈が認められていない。今後の公判では、実際に違法報酬を支払ったとして起訴され公判中の立道浩被告との共謀関係を、検察側がいかに立証するかがポイントとなる。
高谷被告は初公判で、起訴内容を否認して無罪を主張。弁護側も冒頭、起訴内容について検察側の立証が不十分であるとして「共謀関係の成立はいつなのか」「(違法報酬支払いの)最終決定権者は誰なのか」と説明を求めたが、広島地裁は要求を認めなかった。
高谷被告と共謀関係が疑われる立道被告は、捜査段階で「高谷被告から違法報酬額となることが決まったと聞いた」と供述していたとされる。しかし、立道被告は5月に行われた検察側の被告人質問で、高谷被告との共謀について「私の記憶をつないだら、よく分からないことになった」などと証言した。
参院選時には克行氏の政策秘書という「側近中の側近」(陣営関係者)だった高谷被告。陣営関係者からは「高谷被告は支払いに関与した立道被告と克行氏をつなげる橋渡し役に過ぎなかったのではないか」といった声も聞かれる。河井夫妻に対する現金買収疑惑の捜査が大詰めを迎えており、高谷被告の公判の行方も注目される。