【ロンドン=板東和正】欧州連合(EU)を離脱した英国のジョンソン首相と、EUのフォンデアライエン欧州委員長は15日、テレビ形式の首脳会議を開いた。英政府とEUは会談後の共同声明で、自由貿易協定(FTA)など新たな関係構築に向けた交渉を加速させる方針で合意。現在の経済関係を維持する「移行期間」を予定通り12月末に終了することを確認した。
英EUは3月上旬に交渉を開始し、移行期間終了を交渉の期限としてFTA合意などを目指してきたが、「公正な競争条件の確保」や「漁業権」をめぐって対立しており、交渉は難航している。
英EUは共同声明で、膠着(こうちゃく)するFTA交渉の打開に向け「新たな勢いが求められる」との認識で一致。今月29日の週から集中協議を始める計画を支持した。
ジョンソン氏は首脳会談後、「交渉に活力を注入することが必要だ」と強調。フォンデアライエン氏も15日、自身のツイッターで「年末までに(FTAなどの)合意を見いだすために、私たちは7月に交渉を活性化させる」と投稿した。
一方、共同声明は「英EUは、移行期間を延長しないと英国の決定を留意した」と記した。EUは交渉の時間を長く確保するために移行期間の延長に前向きだったが、早期の「完全離脱」を求める英政府は12日に延長を正式に拒否していた。
英EUの離脱協定では、6月末までに双方が同意すれば、移行期間を2022年末まで延長できる仕組みだった。