河井夫妻、果たされなかった説明責任 真相解明は司直の手に





河井克行容疑者の事務所が入るビル=18日、広島市安佐南区(寺口純平撮影)

 自民党を離党した前法相で衆院議員の河井克行容疑者と、妻で参院議員の案里容疑者をめぐる公選法違反事件は、与野党やメディアが求めた説明責任が十分に果たされないまま、真相解明は司直の手に委ねられた。国会に現れるたびに報道陣に囲まれるなど機会は幾度もあった中、詳細な説明を避け続けた夫妻。その視線の先に、一票を投じた有権者の姿が映っていたかは不明瞭なままだ。(今仲信博)

■刑事告発を理由に説明回避

 「法にもとるような政治活動を行ってきたことはありません」

 国会閉会日の17日。衆院本会議に出席した克行容疑者は、記者団にこう強調した。だが、具体的な説明は「捜査中」を理由に避けた。

 説明責任を回避する印象が残る夫妻だが、当初は違った。昨年7月の参院選をめぐる公選法違反疑惑が同年10月に週刊誌で報じられ、克行容疑者が法相を辞任した際、案里容疑者は「事実関係の把握に努めたうえで、説明責任を果たしてまいりたい」とのコメントを発表。克行容疑者も「しっかり調査して説明責任を果たしたい。国民の法務行政への信頼が損なわれてはならない」と述べていた。

 しかし、広島地検に事務所が家宅捜索を受けた1月15日と通常国会が召集された20日、それぞれ報道陣に囲まれた夫妻は刑事告発などを理由に具体的な説明は避けた。案里容疑者は23日、自民党本部が選挙資金に計1億5千万円を投入したと報じられたことについて「違法性はない」と説明した。

■「もらい事故って感じ」

 その後はマスコミに追及される日々が続き、今月17日の参院本会議に出席した案里容疑者は報道陣にもみくちゃにされながら「弁護士から止められている。申し訳ありません」と述べるにとどめた。

 一方、18日発売の週刊文春に掲載されたインタビュー記事で案里容疑者は冗舌だった。事件に関し「もらい事故って感じですよ。自分は、まったく(違法行為に)手を染めていないので」などと語った。

 自民党幹部は事件発覚当初は「『推定無罪』の原則で、離党しろとは言いづらい」と説明していた。しかし、夫妻が関与した疑惑が深まるにつれ「本人がしっかり説明責任を果たすべきだ」(世耕弘成参院幹事長)との声が広がるようになった。

 「日本を変えたい」

 案里容疑者は1月15日、議員を続ける理由をこう説明した。自身をめぐる疑惑への説明を拒み続け、刑事事件にまで発展する中、その大志は今後開かれるであろう公判でも述べられるのだろうか。



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