米各地で黒人差別への抗議活動が続く中、書籍の売れ筋にも変化が出ている。米紙ニューヨーク・タイムズや、アマゾンのベストセラーでは、人種差別問題に関する書籍が上位を独占。売れている書籍のタイトルをみると、「反差別主義者になる方法」「白人が人種差別を語ることはなぜ難しいのか」など白人層に向けたものも多い。
米メディアによると、「これまで以上に多くの白人が、人種問題を本質的にとらえている」とのこと。各地の抗議デモの参加者は、幼少期から多様な人種の中で育った10~20代の若者が圧倒的に多い。書籍を買いあさっているのは主に親世代とみられ、ニューヨーク在住で10代の娘を持つ50代女性は、「娘と話していて、自分の価値観が古いのではと不安になり、人種差別関連の書籍を読みたくなった」と話していた。
米国を代表する1939年の古典映画「風と共に去りぬ」が「人種への偏見が含まれている」として配信が一時停止され、波紋を呼んだばかり。長年、批評家の絶賛と興行的成功を収めた「名作」も、時代の変化に無関係ではいられない。
米国では新型コロナウイルスの流行で働き方の見直しが進んでいるが、抗議活動を受けて、自らの人種意識と向き合う時間ともなっているようだ。(上塚真由)