【ワシントン=黒瀬悦成】米連邦最高裁は18日、子供のときに親に連れられて米国に入国した不法移民の若者の強制送還を猶予する、「DACA」と呼ばれる救済措置を廃止するとしたトランプ政権の決定を認めない判断を下した。
11月の大統領選を前に、不法移民への強硬な政策を打ち出し保守層の支持固めを目指すトランプ大統領は、最高裁の判断に不服を示し、措置の廃止に向けた手続きを改めて始めると表明した。
今回の判断をめぐっては、最高裁判事9人のうちリベラル派の4人に加え、保守派のロバーツ最高裁長官が支持に回った。残る保守派4人は反対した。判断は措置の廃止に関し「合理的な説明を行わなかった」とし、手続きが「恣意(しい)的で気まぐれだった」と指摘した。ただ、制度廃止の是非には言及せず、適正な手続きを踏めば廃止が可能と解釈可能な余地を残した。
救済措置はオバマ前政権下で導入された。対象となる若者は「ドリーマーズ(夢あふれる人たち)」と呼ばれ、米国内に約65万~70万人いるとされる。
トランプ氏は2017年9月に救済措置の廃止を発表したが、下級審では廃止を差し止める判決や命令が相次ぎ、措置は継続されていた。
最高裁は15日、職場でのLGBT(性的少数者)差別に関し、トランプ政権の立場に反する形で「違法」とする判断を下した。トランプ氏は18日、最高裁による一連の判断に関しツイッターで「最高裁は私のことが嫌いなのか。高度に政治的な決定だ」と非難した。
トランプ氏の最高裁判断への態度は、立法、司法、行政の三権分立の原則を離れて自身の意に反する勢力を敵とみなす性向を示すことにもなる。トランプ氏はツイートで「最高裁判事を入れ替えるべきだ」とも主張した。