中国、香港でも露骨な集権化 反体制派に「反テロ」手法可能に





19日、香港で、9月に予定される立法会(議会)選挙への立候補の計画を表明する民主活動家の黄之鋒氏(右)=AP

 【北京=西見由章】中国の全国人民代表大会(全人代)常務委員会が概要を明らかにした「香港国家安全維持法」案は、香港で起きた国家安全に関わる事件の管轄権を中国当局に認めており、「中国本土式の統治」を香港に本格導入する契機となる。政敵や反体制派を次々と投獄して集権化を進めてきた習近平国家主席の手法が一国二制度の香港にも及び、高度な自治を享受していた香港社会は変貌を余儀なくされる。

 法案によると、中国政府が香港に設立する「国家安全維持公署」は国家安全を守る職責を履行し、「関連する権力を行使する」と規定。「ごく少数」の事件については管轄権を行使する。また「国家安全に関する情報を収集・分析する」とした。諜報機関としての任務も担うとみられる。

 また同署は香港政府の国家安全に関する取り組みを監督、指導すると規定。香港の治安維持に関して中国当局が主導権を握ることが明確化された。権威主義国家である中国式の不透明で強権的な監視・統制が香港で展開されることになる。

 中国の改革派政治研究者は、中国当局が香港での反中デモ封じ込めに向けて、新疆ウイグル自治区で導入した「反テロリズム」の手法を導入すると指摘する。政府に批判的な人々を「テロリスト」として次々と摘発するやり方だ。同研究者は「民主派や過激派は一人一人、一夜にして消え去ることになる。米国にも止めることはできないだろう」と話した。



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