【イタリア便り】漁師の健康料理「アクアパッツァ」


 イタリア語の料理の名前は、日本人にも発音しやすく、そのまま日本語として使われることが多い。アクアパッツァもその一つ。

 アクアは「水」、パッツァは「奇妙な」とか「暴れた」を意味するが、なぜパッツァを用いるのか、その語源は定かでない。イタリアでは「塩水で味付けする、ごく簡単な料理」程度の意味に捉えられている。

 もともと南部の港町ナポリの漁師料理として19世紀から存在した。有名になったのは、第二次大戦後の1950~60年代に国民的人気を集めたナポリ出身の喜劇俳優、トト(1898~1967年)が好み、ナポリや沖合のカプリ島を訪れた際にレストランで必ず注文したのがきっかけだ。

 南イタリアでは定番の家庭料理。レシピを簡単に紹介すると、まずはオリーブ油で熱した鍋に完熟トマト3個を切ったものとニンニク1個を薄切りにして入れる。火が通った頃合いを見計らい、中型の新鮮なタイ1匹(スズキなどの白身魚も可)を追加する。最後に海水よりやや濃いめの塩水カップ2分の1と辛口白ワインをカップ1入れて15分ほど煮込み、イタリアンパセリのみじん切りをかけたら出来上がり。

 1人前で約170キロカロリーという健康料理。新型コロナウイルス流行下の自粛生活で運動不足の体にうってつけだ。(坂本鉄男)



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