ラサール石井氏 参院選出馬で過去の「セクハラ発言」再燃 社民党の弁明は

タレントのラサール石井氏(69)が、この夏実施される参議院選挙に社民党の比例代表として立候補することを表明しました。弱者救済を訴え、「黙って見ているのをやめた」と政治への意欲を示した石井氏ですが、過去の自身の発言が、今回の出馬を機に再び注目を集めています。特に、女性に対する不適切な内容を含む過去のツイートが、「セクハラ暴言」として掘り起こされ、社民党のジェンダー平等への取り組みとの整合性が問われています。

参院選出馬表明とその理由

石井氏は6月30日の会見で、「誰かをおとしめて、自分がはい上がろうとする世界はナチズムと同じ」と述べ、政治参加を通じて社会を変えたいという強い意志を表明しました。発言することを「一つの仕事としてこれからやっていこうと決めました」と語り、弱者救済への意欲を示しています。会見ではあえて笑いを封印したといい、その理由として「笑いを取ろうとした時に失言が起きることが多い」と説明。過去の政治家の舌禍を念頭に、今回の出馬会見ではエンターテインメント性を排除し、特にネタらしいものも考えてこなかったと述べています。

参院選出馬記者会見で発言するラサール石井氏参院選出馬記者会見で発言するラサール石井氏

過去の「セクハラ発言」内容と炎上

しかし、石井氏自身も過去に「失言」ととれる発言をしています。2011年5月、彼は自身のTwitter(現X)でフィギュアスケート選手の浅田真央氏について、《ちょっと暴言吐きます》と前置きした上で、《浅田真央ちゃんは早く彼氏を作るべき。エッチしなきゃミキティやキムヨナには勝てないよ。棒っ切れが滑ってるみたい。女になって表現力を身に付けて欲しい。オリンピックまでにガッツリとことん!これは大事》と投稿しました。このツイートは当時「セクハラ暴言」として大きな炎上を巻き起こし、石井氏は謝罪の後に投稿を削除しました。

出馬でなぜ問題視される?社民党の立場との矛盾

この14年前の発言が、今回の参院選出馬表明によって再びクローズアップされている背景には、石井氏を擁立する社民党が、セクシュアル・ハラスメント(セクハラ)やミソジニー(女性嫌悪)に反対する姿勢を強く打ち出してきたことがあります。社民党党首の福島みずほ氏は2019年5月に「セクハラ、パワハラ、マタハラ、SOGIハラを根絶しなければならない」と繰り返し訴え、党の公式アカウントも2024年4月に「女性蔑視の風潮を当たり前のことにしないよう、社民党はミソジニーと対峙し、闘う女性たちと連帯します」と発信するなど、ジェンダー平等推進を主要な政策の一つとして掲げています。

有権者・SNSでの批判的な声

そのため、過去に女性アスリートに対して不適切な発言をした人物を、ジェンダー平等を掲げる社民党が公認したことに対し、有権者やSNS上からは疑問の声が多数上がっています。「女性差別は許さないと日頃から強く言って女性の権利を求めていた割には浅田真央への発言で有名なラサール石井起用でアレ」「浅田真央に対する発言、男だって嫌悪感抱くのにあれを不問にして擁立するならあいつらのフェミニズムは形だけのものってことじゃん」といった批判的な意見が見られます。

社民党による見解と公認の経緯

これらの疑問について、本誌(女性自身)が社民党に見解を求めたところ、まず石井氏本人からのコメントが示されました。石井氏は自身の発言について、「謝罪し反省したものの、取り返しのつかない内容であり、現在も深く反省しています。当時から現在に至るまで、その反省と謝罪の気持ちは変わりません。今後、その反省と学びの上で、ジェンダー平等、あらゆるハラスメント根絶に向け活動してまいる所存です」と、改めて謝罪と反省の意を表明しました。社民党側も、石井氏の当時の発言を「けっして許される内容ではないと考えます」と断罪しつつも、比例予定候補者として公認に至った経緯として、「本人の考え」と、ジェンダー平等やハラスメント根絶に向けた活動に「ともに活動していける方であると判断」したこと、そして「本人の社会を変えたいとの考えと意気込み」を含め検討した結果であると説明しました。党は、SNSでの反応を真摯に受け止めているとし、今後の本人の活動等には必ず教訓が生かされると考えているため、応援を呼びかけています。

過去の自らの発言と、立候補した政党の掲げる理念との間で生じた矛盾に対し、石井氏本人と社民党は説明責任を果たしました。しかし、この「反省」と「教訓」という弁明が、有権者の心にどう響くかは、今後の石井氏の選挙活動と社民党の姿勢にかかっています。

出典:女性自身