【ソウル=桜井紀雄】米国や中国を交え、民族同士が争った朝鮮戦争の開戦から25日で70年を迎えた。北朝鮮外務省傘下の軍縮平和研究所はこの日に合わせて発表した報告書で、米国の「核の脅威と敵視政策」を批判し、「強力な戦争抑止力は必須不可欠の戦略的選択」だとして、非核化に応じず、核抑止力の増強を進める姿勢を改めて示した。
一方、韓国の鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)国防相とエスパー米国防長官は25日に発表した共同声明で、米韓同盟は「朝鮮半島と北東アジアの安全保障と安定、繁栄の要だ」と強調した。北朝鮮の完全な非核化に向けた外交努力を支持していくともし、日本を加えた安保協力も確認した。
北朝鮮が、開城(ケソン)の南北共同連絡事務所の爆破といった対韓強硬措置を重ねた上で、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が韓国への軍事行動計画を保留したと24日に公表するなど、韓国への揺さぶりを続ける中、米韓が同盟の原点といえる朝鮮戦争70年の節目に対北安保での結束を再確認した。
ソウル近郊では、開戦70年の記念式典が行われ、北朝鮮で発掘され、米国に渡っていた韓国軍戦死者の遺骨147柱の返還式も開催。2018年の初の米朝首脳会談後に北朝鮮が米側に返還した遺骨も含まれており、米韓と北朝鮮の当時の対話ムードと現在の冷え込みの落差を印象づけた。
北朝鮮の党機関紙、労働新聞は25日付の社説で戦いへの備えを訴えたが、北朝鮮メディアは24日以降、韓国批判は控えている。