北方領土の歯舞(はぼまい)群島の貝殻島周辺でロシアとの民間協定に基づき日本の漁船が行っているコンブ漁の最中、誤って海に転落した漁師が、近くにいたロシア国境警備局の監督官に救助された。26日、漁業関係者への取材で分かった。転落した漁師がロシア当局に救助されるのは珍しいという。漁師にけがはなく、その場で漁船に引き渡された。
関係者によると、今月14日の操業中に男性漁師が足を滑らせて転落。操業違反を取り締まるため近くにいた国境警備局の監視艇から監督官がゴムボートに乗り換えて近づき、海面から引き上げた。同日操業していた別の漁師は「仲間が危ないところを助けてもらい感謝している」と語った。
14日は13隻がロシア側の臨検を受けたが、操業違反はなかった。
貝殻島は北海道根室市の納沙布(のさっぷ)岬から3・7キロの距離にあり、周辺はコンブの好漁場だという。