【ロンドン=板東和正】英政府は1日、中国への抗議活動などを規制する「香港国家安全維持法」の施行を受け、英国発行の旅券を持つ香港市民の英国での滞在制限を大幅に緩和する方針を発表した。
対象は、英国が1997年まで香港を統治していた時代に香港市民に対して発行された「英国海外市民(BNO)旅券」の保有者約35万人。申請する資格のある市民も合わせると、200万人以上が対象になる見通し。
この旅券を持つ香港市民には現在、英国の市民権がなく、英国での滞在可能期間は6カ月に制限されている。英政府は1日、滞在可能期間を5年間に延長する方針を示した。5年間の滞在期間中は居住や就労が可能になる。5年間の居住を経て、永住権を取得し、市民権を申請できるシステムになるという。
BNO旅券の保有者の受け入れをめぐっては、ラーブ英外相が5月28日、中国が香港国家安全維持法を導入する方針を撤回しない場合、滞在可能期間を12カ月に延長する方針を示していた。しかし、同法の施行による香港への影響を深刻に捉え、延長期間を大幅に延ばしたとみられる。