新型コロナウイルス対策や東京五輪・パラリンピックへの対応、子育てや高齢者対策-。コロナ禍の中で行われた東京都知事選。1146万人の有権者は、都政のリーダーにどんな願いを託したのか。
再び感染が拡大している新型コロナをどう抑え込むかは、東京にとって喫緊の課題だ。感染防止と社会・経済活動の両立のバランスが求められる。
新宿区の会社員、淡海恵子さん(33)は「『夜の街』ばかりが話題になっているが、日中に関しても明確な基準、対策を設けて」と要望。江戸川区の嘱託職員、高橋敏夫さん(74)も「どこまで活動していいのか分かりにくい。信頼できるデータと方向性を示してほしい」と注文をつけた。
現職の小池百合子氏(67)は「オーバーシュート」「ロックダウン」などの用語を駆使して都民に注意喚起を行ってきたが、墨田区の主婦、山崎則子さん(78)は「横文字だけでなく、高齢者にもわかりやすい説明をしてほしい」と話した。
先行き不透明な情勢の中、ホストタウンとして来年夏に延期された五輪に向けてどんなかじ取りをするのかも知事に課せられた重要な役割といえる。
世田谷区の会社員、栗木萌那さん(23)は「開催は慎重に判断してほしい」とした上で「コロナの影響で生活に困窮している人がいるなら、五輪にかかるお金を支援に充ててほしい」と求めた。
足立区の主婦、浅見さゆりさん(65)は「鬱積した気持ちを晴らす起爆剤になる」として、可能な範囲での開催を希望。ただ、「開催の可否については早く決定してほしい」とした。一方、世田谷区の男性会社員(25)は、コロナ禍を念頭に「延期しても結局同じことの繰り返しになるなら、早めに中止を決断した方がよい」と語った。
コロナや五輪だけでなく、首都である東京には、さまざまな課題も山積している。
豊島区のギター修理業、西村秀昭さん(56)は「繁華街の治安を向上させ、女性やファミリー層がより暮らしやすい街づくりを」と要望。新宿区の無職、小室千裕さん(63)は「高齢者や障害者、恵まれない子供などの弱い人々が、主人公になれるような平等で住みやすい社会をつくってほしい」と話した。