【ワシントン=黒瀬悦成】11月3日実施の米大統領選に向け、トランプ大統領(74)と民主党の大統領候補指名が確実なバイデン前副大統領(77)との選挙資金の獲得競争が激しさを増してきた。両陣営の集金ペースはオバマ前大統領が再選された2012年大統領選の同時期を大きく上回っているとされ、新型コロナウイルス禍で選挙運動が大きく制約される中で選挙戦自体は過熱の様相を強めている。
バイデン陣営と民主党全国委員会は1日、6月の集金額が計1億4100万ドル(約152億円)に上ったと発表した。対するトランプ陣営と共和党全国委員会も同日、計1億3100万ドルを集めたと発表。いずれも月間の額としては今年に入って最高だった。
バイデン陣営が集金額でトランプ陣営を上回るのは2カ月連続。
バイデン陣営は、元大企業経営者などの大富豪からの大口献金が目立ってきたが、陣営幹部は、6月の平均献金額は34ドルで、献金者の68%が初めて献金を行ったと指摘し、「バイデン氏を大統領にしようとする有権者の機運の高まりを示すものだ」と主張した。
両陣営は今年第2四半期(4~6月)の調達額でも過去最高を記録。バイデン陣営は2億8210万ドルで、トランプ陣営の2億6600万ドルを上回った。
バイデン氏は6月23日、オバマ氏が初参加したオンラインの資金集めイベントで1100万ドルを調達している。トランプ氏も14日の誕生日に行ったオンラインのイベントで1400万ドルを集めた。
バイデン氏は元来、資金集めが苦手とされ、苦戦が目立った民主党候補指名争いの序盤では選挙資金の枯渇で撤退する可能性が指摘されていた。ただ、その後の巻き返しで党候補指名が確定的となり、指名を争った他の候補らが軒並み同氏支持に回ったことで資金繰りが一気に好転した。
ただ、トランプ陣営は手持ち資金で約2億9500万ドルを確保しているとしており、資金面でバイデン陣営は依然不利とされる。バイデン陣営は手持ち資金の全容を公表していない。