マイナンバーカードの6月の交付枚数が88万9枚と、前年同月の3・8倍に急増したことが8日、分かった。カードは申請から交付まで1カ月以上かかるとされ、5月に始まった国民1人に10万円を配る特別定額給付金で、オンライン申請するためカードを作る人が増えたことが要因とみられる。カード申請は6月も増えており、7月にはマイナンバーカードを使ったポイント還元「マイナポイント事業」の申し込みも始まったことから、当面は高い増加ペースが続きそうだ。
マイナンバーカードの交付が最も多かったのは制度が始まった平成28年だが、この年の1カ月の平均交付枚数の82万枚も上回った。総務省によると5月には159万枚、6月には99万枚の申請があり、未交付分は7月以降の交付枚数に反映される。
10万円の定額給付金では、申請方法を郵送かマイナンバーカードを使ったオンラインの2通りから選べたが、オンラインの方が早く現金が受け取れる自治体が多く、一部の市区町村の窓口にはカードを申し込む住民が殺到。新型コロナウイルス感染予防の「3密」回避のため、対応に追われた。
ただ、6月末時点の累積交付枚数は2220万枚で、全国民に対する普及率は17・4%にとどまる。カード普及に向けて政府が昨年9月に示した計画では、今年7月末の交付枚数の想定を3千万~4千万枚としており、普及が遅れていることに変わりはない。
7月に申し込みが始まったマイナポイント事業は、マイナンバーカードにキャッシュレス決済サービスを登録して利用すれば、25%(最大5千円分)がポイントとして還元される施策で、政府はカード普及の起爆剤として期待を寄せている。