「SDGs」(持続可能な開発目標)は、2015(平成27)年の国連サミットにおいて採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された国際目標である。「地球上の誰一人として取り残さない」ことを理念とし、「貧困をなくそう」「すべての人に健康と福祉を」など17のゴールと169のターゲットで構成されている。日本では、採択の翌年に首相を本部長とするSDGs推進本部が立ち上がり、実施指針の下、企業や自治体、NPO、大学、各種研究機関など、多様な主体が取り組みを進めている。
千葉県企業のSDGsへの取り組みについて、ちばぎん総合研究所が実施したアンケートによると(千葉経済センターからの受託、「県内企業のSDGsの取り組みにかかるアンケート調査」、昨年8~10月、回答212社)、取り組みを「既に実施している」が1・9%、「具体的な検討を進めている」は4・3%にとどまった。内閣府が今年1~2月に実施した上場企業を対象とする調査では、48・9%が「既に取り組んでいる」、35・1%が「現在、検討中である」と回答しており、千葉県企業は出遅れ気味である。
もっとも、県内企業の38・0%が「具体的な検討に至っていない」と回答しており、これを含めると、全体の4割強の企業がSDGsに関心を持っていることになる。
県内での具体的な動きをみると、大企業では、イオングループ(千葉市)が食品廃棄物の半減(SDGs17のゴールのうち「飢餓をゼロに」などに適合)などに取り組んでいるほか、中小企業でも、芳源マッシュルーム(香取市)が、マッシュルーム栽培後の使用済み培地の有機肥料化(17のゴールのうち「つくる責任つかう責任」に適合)などに取り組む例などがみられる。企業と自治体との連携も進んでおり、東京電力パワーグリッド千葉総支社が5月26日に市原市との間で、SDGs達成に向けた包括連携に関する協定を締結したほか、日産自動車なども6月5日に木更津市との間で電気自動車を活用したまちづくり連携協定を締結した。
千葉県は、昨年秋に相次ぐ台風被害に見舞われており、地球温暖化防止策が急務になっている。また、新型コロナウイルスの感染拡大で社会の持続可能性も問われている。
企業によるSDGsへの取り組みは、企業理念への活用のほか、社員力の底上げやモチベーション向上を通じた企業価値の向上、リクルート対策、退職防止などに効果があると言われている。「JAPAN SDGs Action Platform(外務省)」、「持続可能な開発目標(SDGs)活用ガイド(環境省)」などには、中小企業も含めた取り組みの具体例や手順などが掲載されている。SDGsに少しでも関心を持たれた企業では、参考にされてみてはいかがだろうか。(寄稿、随時掲載)