NTTドコモの吉沢和弘社長は9日までに産経新聞の取材に応じ、3月に商用サービスを開始した第5世代(5G)移動通信システムについて、令和2年度に目標とする250万件の契約を獲得できるとの見通しを示した。
5Gの契約数は7月6日時点で約17万件と新型コロナウイルスの感染拡大という逆風にもかかわらず「計画に対して少し上を行く」出足だったと明かした。
5Gに対応するスマートフォンは現在、10万円超の高価格帯が主体だが、今秋にも人気機種「iPhone(アイフォーン)」、年度後半には5万~8万円の中価格帯の端末を投入し、契約獲得に弾みをつける。
5G普及のカギを握る通信エリアをめぐっては、KDDIとソフトバンクが3年度末までに5万局超の基地局を整備する計画を打ち出した。両社は現行の4Gの周波数帯を5Gに転用して既存基地局の置き換えを進める方針だが、「それでは通信速度は4Gと変わらず、本当に5Gといえるのか」と指摘し、ドコモは5G本来の性能を発揮できる新たな周波数帯に対応する基地局を同期に2万局整備する方針を示した。
総務省が6月末に公表した世界6都市の携帯料金の調査で東京の大容量プランが最も高額だったことを受け、菅義偉官房長官が「大幅な引き下げ余地がある」と述べたことに対しては、「数字の比較は事実でまだ高いということ。どう是正するかを真剣に考えないといけない」と述べた。
楽天は4月に携帯電話事業に本格参入し、6月末に契約申込数が100万を突破したが「ドコモからの顧客の移行はほとんどない」とした。楽天は月額2980円と携帯大手の半額以下の料金で価格競争を仕掛けているが「すぐに料金を近づけるとか追随するとかは今は考えてない。もう少し見極める時間はある」と語った。