【パリ=三井美奈】国連教育科学文化機関(ユネスコ)は10日、トルコのエルドアン大統領がイスタンブールにある世界遺産の建築物アヤソフィアをモスク(イスラム教礼拝所)と定めたことについて、「事前協議なしの地位変更は、非常に遺憾」とする声明を発表した。
声明によると、ユネスコのアズレ事務局長は、トルコ大使に遺憾の意を伝えた。トルコ政府に対しては、すみやかに対話に応じるよう要求。次回のユネスコ世界遺産委員会で、アヤソフィアの保全状況が審議対象になるとした。事前協議なしに建築構造や開示方法を変えれば、世界遺産条約に違反する可能性があると警告した。
アヤソフィアは6世紀、ビザンツ帝国がギリシャ正教の聖堂として建設。15世紀、オスマン帝国がモスクに改造した。1935年、無宗教の博物館に改められ、「異文化共存の象徴」と見なされてきた。エルドアン氏は10日、モスクに戻すための大統領令に署名した。