17日に閣議決定された政府の成長戦略には、多様な働き方の一環として希望する人が増えている副業や兼業を促進するため、企業の労務管理負担を軽減するルール整備が盛り込まれた。労働基準法は、働く人の健康を守るため、複数の事業所で雇用される場合は、その人の労働時間を合算すると規定している。この管理責任を企業から労働者に移し自己申告制とする。
■管理簡便化で企業の負担軽く
政府はこれまでも、多様な働き方や生産性向上の観点から、副業や兼業を後押ししてきた。労働者が本業として勤務する企業は、その労働者の副業や兼業の労働時間も合わせて把握する責任がある。企業にとっては法律上の責任が重くなるほか、事務が煩雑になるため、本業である企業が、労働者の副業や兼業を認めたがらないという問題がある。
改革ではまず、副業や兼業時間を労働者の自己申告制とする。この際、労働者が申告漏れや虚偽申告をして、副業や兼業先の超過労働によって労働上限時間を超過したとしても、本業の企業は責任を問われないようにする。
さらに、労働時間の管理方法を簡便にする。本業の企業が副業や兼業を認める際に条件を付けることで、本業の企業が従来通りの労働時間管理を行えるようにする。具体的には、本業の企業は所定労働時間を超えて働かせる場合、あらかじめ労働者本人に連絡することで、労働時間の管理をしたことにする。