【ニューヨーク支局】国連のグテレス事務総長は18日のオンライン演説で、国際機関における不平等の解消を訴え、「70年以上前に頂点に立った国々が改革を拒んでいる」と批判した。「国連安全保障理事会の構成や投票権」を改革すべき対象として例示しており、拒否権を持つ米英仏露中の5常任理事国を念頭に置いた異例の発言といえる。
グテレス氏は、南アフリカで反アパルトヘイト(人種隔離)運動を指導したマンデラ元大統領の誕生日に合わせ、国際社会の不平等をテーマに演説した。
この中でグテレス氏は「不平等の解消は国際機関の改革から始めなければならない」とし、国連安保理や世界銀行などで「力関係を変更する改革」が必要だと訴えた。アフリカ諸国など発展途上国の意向が十分に反映されていないことを問題視した。
安保理では、拒否権を持つ米国などと中露が主要問題でことごとく対立する構図が定着し、機能不全が指摘されている。日本とドイツ、インド、ブラジルの4カ国(G4)は常任理事国の枠を拡大する安保理改革を訴えているが、関係各国の利害が複雑に絡み、議論は停滞している。
グテレス氏は演説で、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が「エックス線」のように国際社会の矛盾を暴き出したとも指摘。先進諸国は「自国の利益」を優先し、途上国への十分な支援を行わなかったと述べ、各国指導者に国際協調を呼びかけた。