IR基本方針、策定時期白紙に 整備法成立2年 コロナで見直し


 統合型リゾート施設(IR)の選定基準を定めた「基本方針」の策定時期について、政府関係者は20日、産経新聞の取材に「白紙としている」ことを明らかにした。政府は、特定複合観光施設区域整備法(IR整備法)が公布から2年となる今月26日を前に、基本方針を策定する方向で調整してきた。しかし、新型コロナウイルス感染対策も基本方針に盛り込む必要が生じたことなどから慎重に作業を進めており、公表時期を「未定」とした。

 政府は成長戦略の柱として訪日客の拡大の起爆剤として、2020年代半ばのIR開業を目標に掲げ続けている。ただ、大阪府・市は、2025年大阪・関西万博前のIR開業が間に合わないと開業目標時期を撤回した。今回、自治体がIR事業者の公募や選定を実施する前提となる基本計画の策定時期が白紙であることが明らかになったことで、他の自治体や事業者の作業も遅延に追い込まれる可能性がある。

 IRの基本方針は、政府が全国で最大3カ所選定するIRの選定基準で、昨年11月までに公表された基本方針案を基に、今年1月中にも公表される見通しだった。

 しかし、昨年12月のIR事業への参入をめぐる汚職事件で、IR事業者とIR選定に関わる公務員の接触を厳格化する規定を盛り込むことが求められ、新型コロナの流行後には、IR内での感染防止対策も必要とされたことから、基本方針の公表時期が先送りされてきた経緯がある。

 先送りされた結果、基本方針は、IR整備法の公布から2年となる26日までに公表されるとの見方が自治体や事業者に広がっていた。ただ、同法の条文では基本方針について「公布から2年」との期限は盛り込まれていない。政府関係者は「(コロナ対策など)遺漏がないように基本方針の策定を進めている」としている。

 統合型リゾート施設(IR) カジノや国際会議場のほか、展示場、ホテル、観光案内施設、日本文化の魅力を伝える施設の計6施設からなる大型施設。政府は2020年代半ばの開業を目指しており、政府の調査に対しては東京都、横浜市、名古屋市、大阪府・市、和歌山県、長崎県の計7自治体がIR事業者誘致を検討する考えを表明している。



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