菅義偉官房長官が19日のフジテレビ番組で、新型コロナウイルス対策に関連し、新型インフルエンザ等対策特別措置法の改正が将来的には必要との考えを示した。
現行の特措法には定められていない休業要請に対する補償が「最終的には必要だ」と述べた。十分な感染防止策を講じない店への罰則についても「新たな法律が必要だ」と語った。
20日の会見で菅氏は、法改正について「政府の対応をしっかり検証する必要がある」と述べた。感染収束後に検証を実施し、その上で改正内容を固める算段だ。
政府・与党の有力者による「補償」の明言は注目に値する。全国知事会からも法改正歓迎の声が出ている。ただし菅氏が言う法改正の時期は遅すぎる。現在進行形の感染拡大に対応できないようでは危機感が不足している。
特措法は、日本が新型ウイルスと戦うための基本法だ。安倍晋三首相や菅氏は改正内容を早急に固め、臨時国会の召集を決めて、改正実現を図ってもらいたい。
東京など首都圏や大阪などで感染が急速に広がっている。手をこまねいていれば、再び全国に拡大しかねない。
拡大を防ぐために、業種や地域を限って休業要請を行うことは重要な選択肢の一つである。
だが、これまでの対応で財源に余裕がなくなった東京を含め、都道府県の多くが休業要請に踏み切れないでいる。補償をためらっているからだ。
前回の休業や外出自粛の要請により経営的に大きな打撃を受けた店や事業者は多い。今、経済的手当てなしに休業を求めても実効性に乏しい。収入の途(みち)を閉ざすことになるため、休業に応じたくても応じられない店や事業者が出てきかねない。休業を円滑に進めるには経済的手当てが欠かせない。
法改正では、一定の補償とセットで、強制力を伴って休業を命じる規定が必要だ。首都圏など都道府県の境を越えての実施もあり得る。国にも休業を命じたり、調整したりする権限を与えておくことが望ましい。国は財源の面からも都道府県による補償を確実に支える必要がある。
法改正前に都道府県が休業要請を実施する場合には、協力金などの支出により実効性を高めることが求められる。国は交付金の柔軟な活用を認めるべきだ。