トランプ氏、コロナ専門家との亀裂修復をアピール





会見するアンソニー・ファウチ米国立アレルギー感染症研究所長とトランプ米大統領=4月17日、ホワイトハウス(ロイター)

 【ワシントン=住井亨介】トランプ米大統領と政権の新型コロナウイルス対策チームの専門家、アンソニー・ファウチ国立アレルギー感染症研究所長との亀裂が報じられる中、トランプ氏が関係修復のアピールに躍起となっている。

 「ファウチ氏はいくつかの間違いを犯した」。トランプ氏は19日放映のFOXニュースとのインタビューでこう述べた。新型コロナの発生当初、ファウチ氏がマスク着用に否定的だったなどと批判する一方で、「昨日も長く話し込んだし、ファウチ氏とはとてもいい関係を保っている」と強調した。

 14日にはナバロ大統領補佐官が米紙に寄稿し、「ファウチ氏は医師として国民受けは良いが、私が関わった範囲ではすべて誤っていた」と非難。米CNNによると、13日にはファウチ氏を批判する匿名の文書がホワイトハウスから主要メディアに送られたという。

 ホワイトハウスがファウチ氏への批判を強めている背景には、感染が再び拡大しているにも関わらず経済再開を急ぐトランプ氏にファウチ氏が否定的なためだ。トランプ氏と見解が対立しても医師としての見解を曲げない姿勢は国民から高く評価される一方で、ホワイトハウスからは煙たがられ、最近数カ月は主要テレビへの出演も事実上阻止されていたと伝えられている。

 こうしたホワイトハウスからの“攻撃”にファウチ氏は困惑を隠しきれない様子で、「私は政治的な人間ではない。大統領に対抗しようとは考えていない」と一部メディアに心情を吐露する。

 米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)の6月の世論調査によると、コロナ感染症対策で誰を信頼するかとの質問に、約3分の2にあたる67%がファウチ氏を挙げた。トランプ氏を挙げたのは26%だった。

 国民的な人気を誇るファウチ氏だけに、11月の大統領選に向けてトランプ氏はファウチ氏の更迭など決定的な亀裂は避けたいところ。トランプ氏は15日、「ナバロ発言」について「(ファウチ氏を含め)われわれはみな同じチームだ」と弁明に終始。結束ぶりを訴えた。



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