【一筆多論】コロナ停戦かけ声だけか 内畠嗣雅

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スリナガルの南東、バルタルの近くのラダックに向かう前に、休息をとるインドの陸軍の部隊=6月16日(ロイター)

スリナガルの南東、バルタルの近くのラダックに向かう前に、休息をとるインドの陸軍の部隊=6月16日(ロイター)

 グテレス国連事務総長の呼びかけを受けた、国連安全保障理事会の「コロナ停戦決議」は協議に3カ月以上を要し、7月1日にようやく採択された。難航したのは、「中国発祥のウイルス」や「世界保健機関(WHO)を支持」といった記述をめぐり、常任理事国の米国と中国が激しく対立したためだ。最終的にはこうした言及はなく、すべての紛争当事者に90日間の即時停戦を求めることを柱とする短いものになった。

 新型ウイルス対策に専念しようと、グテレス氏がコロナ停戦を呼びかけたのは3月23日のことだ。世界は国家、民族、宗教に関係なく共通の敵に直面している。人間同士が憎み合ったり、敵対したり、交戦したりしている場合ではない-というのである。まったくその通りだ。ところが残念なことに以後、世界は共通の敵相手に結束するどころか、コロナ禍への怒りを互いにぶつけ合って、明らかにぎすぎすしはじめた。

 コロナ停戦でグテレス氏の念頭にあったのは、内戦のシリアやイエメン、リビアなどで、難民ら弱者を戦火と感染の二重苦から救い出すということだった。安保理に求められたのは、グテレス氏の提言を決議で速やかに支持し、コロナ停戦を望むのは国際社会の総意だと示すことだった。安保理内の対立で、そうした意義は損なわれた。

 米中の責任は重いが、中国が自らも、コロナ停戦の趣旨に反する争いの当事者となっていることを見過ごすわけにはいかない。

 6月中旬、中国軍とインド軍が山岳の国境地帯で衝突し、インド側は自軍20人が死亡と発表、双方に多数の死傷者が出たもようだ。棍棒(こんぼう)や投石でやりあったというが、中印間には国境地帯での紛争回避のため取り決めがあり、その一つの「実効支配線の2キロ以内での火器と爆発物の禁止」のルールを守ったものらしい。もっとも、これほどの事態に発展したのだから、取り決めが全体として機能しなかったか、別の重大な違反があったかだ。

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