【ニューヨーク=上塚真由】米ジョンズ・ホプキンズ大の集計によると、新型コロナウイルスの感染者は25日、世界全体の累計で1570万人を上回った。感染者、死者ともに最多の米国では、西部カリフォルニア州でヒスパニック(中南米系)の住民を中心に感染者が増加し、44万人を突破。東部ニューヨーク州を抜いて州別最多になった。
カリフォルニア州は3月、いち早く州全土に外出規制措置を導入。当初は感染拡大を抑えたと評価されたが、5月に入って徐々に規制を緩和すると、6月下旬から感染者が急増した。
被害が広がっているのは、中南米系の住民が多く暮らす地域だ。人口比では4割弱だが、州内の感染者の55%を占めるなど人種的な偏りが目立つ。密集した住宅環境や、対人距離を保つのが難しい職場環境で働く人が多いことが原因とされる。
また、メキシコとの国境に接する地域も被害が深刻だ。州南東部インペリアル郡は医療体制が崩壊し、6月末に外出制限が再発動された。中南米系が85%を占める同郡の貧困率は2割を超え、基本的疾患を持つ住民が多い上、農業従事者のメキシコ移民が行き来し、「一貫した感染対策が取れない」(地元メディア)との問題も抱える。
コロナ対策として、米国とメキシコは3月下旬から不要不急の出入国を制限しているが、農業従事者などは対象外で、国境での感染対策が急務となっている。
感染拡大が著しい州は、フロリダやテキサスなど共和党系の知事が「経済再開を急いだ」(米メディア)との指摘が相次ぐ。だが、カリフォルニア州のニューサム知事(民主党)に対しても「検査体制の整備が遅れ、拡大を招いた」などと批判が強まりつつある。
同州は今月に入り、レストランの店内営業禁止やバーの全面休業など規制を強化したが、感染拡大に歯止めはかかっていない。最大都市のロサンゼルスのガルセッティ市長は19日、外出制限の再発動の「瀬戸際にある」と警告。都市封鎖(ロックダウン)の危機にも直面している。