フランスの「バン・ゴッホ研究所」は28日、オランダ出身の画家ビンセント・バン・ゴッホ(1853~90年)の最後の作品とされる「木の根と幹」で描かれた場所を特定したと発表した。パリ近郊オーベールシュルオワーズにあり、古い絵はがきの写真が手掛かりとなった偶然の発見だった。
作品を所蔵するオランダ・アムステルダムのゴッホ美術館の専門家も、信憑性(しんぴょうせい)が極めて高いと判断した。この作品を描いた日に自殺を図ったとされ、最晩年の行動に関して理解を深める発見と評価されている。
場所を見つけたのは、バン・ゴッホ研究所のバウター・バンデアベーン研究部長。新型コロナウイルス対策で外出が制限されていた今春、自宅で資料を整理した際に、20世紀初めの絵はがきの写真にゴッホの作品に似た木の根と幹が写っていることに気付いた。場所はゴッホが滞在していた宿からわずか約100メートルの道沿いと分かり、現在も木の根と幹が残っているのが見つかった。
バンデアベーン氏は、弟テオらへの「絵による別れの手紙」だったのではないかと指摘する。(共同)