毎年10月第一週にはノーベル財団がノーベル賞受賞者を発表する。物理学、化学、生理-医学、文学、平和、経済の6種類、分野別に人類にこの上なく大きな貢献をした人物や団体に与えられる賞で全世界で最も権威があって影響力のある賞だ。
大韓民国は2000年に金大中(キム・デジュン)元大統領がノーベル平和賞を最初に受賞した後、誰もノーベル賞を受賞できなかった。毎年、ノーベル賞が発表される時期になると、コ・ウン詩人の文学賞受賞の可能性に大きく関心が集まる。果たして大韓民国は文学賞の他のノーベル賞を受賞する可能性はないのだろうか?
少なくとも物理学分野では受ける可能性がとても大きかったが、残念ながら逃して受けられなかった場合がたびたびあった。その中で本当にノーベル物理学賞受賞が有力だったが、残念な理由で受けられなかった科学者を紹介する。
▲ハーバード大学応用物理学科キム・フィリップ教授。出処:ハーバード大学
キム・ピルリプ(キム・フィリップ、Philip Kim)教授は韓国人のノーベル物理学賞受賞を論じるときは常に抜けることなく登場する。1990年、ソウル大物理学科を卒業したキム・ピルリプ教授は1999年、ハーバード大学で応用物理学博士学位を受け、2002年からコロンビア大教授で現在はハーバード大応用物理学科教授を歴任している。
キム・ピルリプ教授はグラフェンの性質に関する研究で世界的な権威を有する科学者だ。グラフェンという炭素原子価六角形で蜂の巣構造を有する物質で銅より100倍、電気を通しながら鋼鉄より200倍強い性質によって夢の物質と脚光を浴びた物質だ。
(中略:グラフェンとキム教授の業績説明)
しかし、このような業績にもかかわらず、2010年ノーベル物理学賞からキム・ピルリプ教授の名前が抜けていた。これに対して大韓民国を含む科学界がノーベル財団に数多くの抗議を出し、科学学術誌であるネイチャーにはノーベル財団が失敗したという記事が載った。
さらにガイム(2010年ノーベル物理学賞受賞者の一人)は自身のノーベル物理学賞受賞演説でキム・ピルリプ教授に言及しながら「私は彼に借りたものが多い、彼と賞を共有できたら光栄だっただろう。」と発言した。
結局、ノーベル委員会は自分たちの失敗を認めたが、ノーベル賞は翻意が不可能で、キム・ピルリプ教授もノーベル賞は最初の発見により大きな意義を置くことを理解している、と言って一段落した。
大韓民国の二番目のノーベル賞受賞者はノーベル財団の失敗によって登場できなかった。一方、このような論議があって10年過ぎた2020年、ノーベル賞は来る10月5日からノーベル財団で発表される。