大阪都構想 決着へ コロナ禍での住民投票 機は熟したか

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大阪都構想 決着へ コロナ禍での住民投票 機は熟したか

 怒号やヤジが飛び交った5年前とは打って変わり、静寂が広がっていた。9月26日、大阪市が主催した大阪都構想の住民説明会。会場の市中央公会堂(同市北区)では参加した市民約420人が、大阪市長の松井一郎(大阪維新の会代表)や大阪府知事の吉村洋文(維新代表代行)らの登壇を待つ間、黙々と都構想を説明する市作成の冊子のページをめくっていた。

【表で見る】前回と今回の大阪都構想協定書の比較

 「都構想実現で二度と府市対立には戻さない」。熱弁をふるった松井は説明会終了後、記者団にこう話した。「皆さん冷静で、中身の理解は進んでいる」

 都構想の実現を一丁目一番地の政策に掲げるも、平成27年5月の住民投票で僅差で否決された維新。代表だった橋下徹は引退に追い込まれ、構想は断たれたかと思われたが、維新は再挑戦を掲げた同年11月の大阪府知事・大阪市長のダブル選で圧勝。その民意を背に結党10年を迎えた今年、2度目の住民投票にこぎつけた。

 局面を打開してきた源泉は、選挙での強さだ。その勢いに国政でも与野党がすり寄る政治的環境を利用しながら、昨年4月には大阪府知事・大阪市長の入れ替えダブル選という“奇策”を打ち圧勝。勢いを追い風に、住民投票に突入するはずだった。

 だが年明けに想定外の事態に見舞われる。新型コロナウイルスの感染拡大だ。

 大阪で初めて感染者が確認されたのは1月29日。以降、首長である吉村と松井は新型コロナへの対応に奔走することになった。

 松井は黒子に徹し、司令塔を府に一元化。知事である吉村のリーダーシップを際立たせた。吉村はテレビ出演やSNSで積極的に発信。自粛要請の独自基準「大阪モデル」の策定など、全国に先駆けた対策を次々と打ち出して耳目を集め、知名度は一躍全国区となった。

 だが、感染者の増加と社会経済活動の停滞に、都構想反対派は「新型コロナ対応を優先すべきだ」と住民投票の延期を迫った。これに対し、松井は「民主主義の根幹である住民投票は不要不急ではない」と反論。むしろ、「府市一体でのスピード感ある意思決定で、大阪の対応は評価された。コロナ禍で都構想の必要性が一層明確になった」とアピールした。

 7月、都構想の広報戦略を担う特命チームに松井のある“指令”が伝えられた。「ポスターに吉村と俺の顔はいらん」

 特命チームはこのとき、2種類の都構想ポスターを仮作製しており、1つは2人の顔写真を組む構成だった。素案を見るや松井は外すように指示し、「もっと制度理解につながるポスターを別に作ってくれ」と命じたという。

 背景には、5年前の経験から「吉村人気」に頼ることへの警戒感がある。前回住民投票での維新の広報戦略は、当時代表の橋下の強烈な発信力に負う面が大きかった。ポスターやチラシの表紙のほぼ全てを橋下が飾り、橋下の「好き嫌い投票になってしまった」(維新議員)との反省がある。

 今回、新型コロナ対応でリーダーシップを発揮した吉村の支持層は厚い。3月末に30万人だったツイッターのフォロワー数はいまや109万人以上。「吉村バブル」と反対派にも揶揄(やゆ)されるが、維新内部では吉村人気に依存することへの危機感がある。

 コロナ禍により、5年前と比べて都構想に関する市長や知事の話を直接聞く機会が減り、市民からは「説明不足」との声も上がる。だが松井は、大阪府知事と大阪市長の両ポストを維新が押さえてきたこの10年間で府市が連携する「バーチャル大阪都」は定着、機は十分に熟したとみている。

 「この10年、都構想は大阪でありとあらゆる選挙の争点となり、そのたびに説明を尽くしてきた。丁寧な説明は時間をかければいいわけではない。任期の中で公約を実行するのが政治家として当然だ」(敬称略)

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