【AFP=時事】米司法省は20日、ネット検索と広告で「違法な独占」を維持しているとして米グーグル(Google)を提訴した。反トラスト法(独占禁止法)違反で数十年ぶりの大型訴訟で、今後グーグルの事業分割に至る可能性もある。
【写真】グーグルのスンダル・ピチャイCEO(右)とラリー・ペイジ前CEO
今回の訴訟は、米政府とIT大手間の新たな闘争の幕開けとなり、決着までに数年かかりIT業界全体に大きな影響をもたらす恐れもある。政治が絡んでいるとの見方もある。
司法省は、11州の司法当局と共同でグーグルを提訴。訴状を米首都ワシントンに提出した。ジェフリー・ローゼン(Jeffrey Rosen)司法副長官は訴訟について、グーグルのオンライン上のエコシステムの支配を問題視するものだと説明した。ローゼン氏は記者会見で「グーグルはインターネットへの入り口」だとした上で、グーグルは端末メーカーに数十億ドル(数千億円)を支払い、主要検索エンジンの地位を保っていると指摘。グーグルは「競争を阻害する排他的慣行を通し、独占を維持してきた」と表明した。
訴状はグーグルの行動が競合他社を排除しているとの内容で、裁判所が事業分割の可能性を含め広範にわたる是正措置を検討するよう提案しているが、具体的な内容についての言及はない。ローゼン氏は、グーグル提訴は司法省によるIT大手のプラットフォームに対する調査の一環であり、グーグルの他にも提訴があるかもしれないと述べている。
グーグルは訴訟について「深刻な欠陥」があると表明。「人々は自ら選択してグーグルを使用するのであり、強制されたり代わりを見つけられなかったりするからではない」と主張した。
反トラスト法に詳しい米ラトガース大学(Rutgers University)マイケル・キャリアー(Michael Carrier)法学教授は、この訴訟でグーグルが自社OS(基本ソフト)「アンドロイド(Android)」搭載スマートフォンから自社製ソフトの一部の削除を強いられる可能性があると指摘。この点で、1990年代のマイクロソフト(Microsoft)訴訟と類似していると述べた。マイクロソフトは当時、消費者に自社製ソフトの使用を強制しているとして訴えられた。
一方、米大統領選が2週間後に迫る中での提訴について、キャリアー氏は「政治的懸念が一因となっている可能性がある」とも述べた。【翻訳編集】 AFPBB News