【ワシントン時事】トランプ米大統領とバイデン前副大統領は22日のテレビ討論会で、北朝鮮政策をめぐって応酬した。
トランプ氏が金正恩朝鮮労働党委員長と会談したことに関し、バイデン氏は「(核開発に突き進んだ)北朝鮮に正当性を与えた。悪党を仲間だと言っている」と批判。トランプ氏は衝突の回避に成功したと反論した。
バイデン氏は、欧州諸国のナチス・ドイツへの宥和(ゆうわ)政策を念頭に「われわれはヒトラーが欧州を侵略するまで友好関係にあった」と述べ、対話重視の北朝鮮政策を批判。トランプ政権下で、北朝鮮は米国の領土に届くより能力の高いミサイルを保有するようになったとも指摘した。
バイデン氏はその上で、正恩氏と会談する条件として「核能力の引き下げに同意すること」を挙げ、「朝鮮半島を非核地帯にすべきだ」と訴えた。
これに対しトランプ氏は、「北朝鮮問題は(オバマ前大統領が残した)厄介事だった」と強調。核戦争の勃発を懸念していたオバマ氏の予想と異なり「戦争は起きていない」と語り、正恩氏と3度の首脳会談を行って良好な関係を築き、数百万人が死亡する事態を避けたと自賛した。
バイデン氏は、中国に対し弱腰だというトランプ陣営の批判を踏まえ、対中政策にも言及。中国を国際ルールに従わせるため、友好国と連携する必要があると訴え、「従わなければ経済的代償を支払わせることになる」と述べた。副大統領時代に、中国が主張する防空識別圏内で爆撃機を飛行させたとも語り、弱腰ではないとアピールした。