<W解説>日本製品の不買運動「NO JAPAN」、韓国の皮肉とこれからの日韓関係


<W解説>日本製品の不買運動「NO JAPAN」、韓国の皮肉とこれからの日韓関係

韓国の”元徴用工”から日本企業に対する個人補償・賠償を巡る韓国大法院(最高裁)の判決と資産の現金化手続き。そして、韓国に対する日本の輸出管理政策の強化。事実上の経済制裁とも言われ、韓国では「No Japan」を合言葉にした日本製品の不買運動につながった。

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 歴史的にはこれまでもしばしば日韓の対立が日本製品の不買運動を引き起こしたものの、いつの間にか、忘却されて元の木阿弥になってしまうと言うのを繰り返してきた事も事実だ。そして今回の「No Japan」運動も燻ぶりつつはあるものの、今回の不買運動も過去のもの同様に、下火に向かいつつある気がしてならない。

 特に今回の対日不買運動で興味深かったのは、次の展開である。

1)主張者(扇動者)が日本車の愛用者(しかも複数台の所有者)だったり、

2)運動の渦中にあってもコロナウィルス騒動の所為で自宅で過ごす事が多かった韓国市民らが任天堂の「どうぶつの森」と「Nintendo Switch」やソニーの「Play Station 5」の発売に行列を作って殺到したり、

3)韓国で世論調査をしてみると、新型コロナウイルス騒動の終息後に行きたい海外旅行先として日本が圧倒的な一位だったり、

 今までの対日不買運動とは違う展開が見られた。

 その結果、韓国では”代替不可能な日本製”は「No Japan」運動から除外すべきだとの意見が受け入れられている。こうした韓国の対日不買運動は「選択的な不買」または「ビュッフェ式反日」と呼ばれている。

 韓国は対日依存度が高い製品・自力で代替できないサービスについては自覚しつつ、”ご都合主義”的に対日不買運動をしているに過ぎないと自嘲し出しているのだ。

 韓国生活の経験した日本人には有名な話のようだが、”冗談”のような”真実”がある。韓国人について「昼間は反日、夜は親日」、「上半身は反日、下半身は親日」等の経験談である。”闘争心”を燃やしながらも、どこかでは”同志意識”を持っているのが韓国人の反日パラドックス・皮肉でもある。

 今回の騒動ではビュッフェの如く「出来る事だけ」「したい事だけ」を選択して「反日不買」をする、そうした姿勢が自嘲の対象となり、諦念がそこに込められているのだ。

 日本語には「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」と言う諺があるようだが、一見すると韓国人もそういう傾向にあるものの、実際にはよく言えば”柔軟”に、悪く言えば”ご都合主義”的に、まさにビュッフェ式で「反日行為」を選択している。

 この韓国人の柔軟性に注目しつつ、日韓が相互依存を深化させている現実を目撃している。韓国人も日本人も、日韓関係の危機・対立を自らの選択として自ら「管理」しなければいけない。昔のように両国の政治権力が密室で密約をし、握手するような時代は既に終わっているからだ。

 両国間のあらゆる分野における相互依存度が高い程、対立は”管理”し得るものだ。対立や戦争の本質を見抜いたこの「相互依存理論」を思い出しつつ、「選択的な不買」や「ビュッフェ式反日」と言う言葉を日韓関係の好転に活用出来ないものか、そんな思いを抱いてしまう。



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