加藤勝信官房長官は26日の記者会見で、核兵器を全面禁止する核兵器禁止条約が来年1月22日に発効することについて「核兵器禁止条約は我が国のアプローチとは異なる。署名は行わないという考え方に変わりはない」と述べ、日本は署名・批准しない意向を改めて示した。条約発効後1年以内に開かれる「締約国会議」へのオブザーバー参加についても、「具体的に言う状況にはない。慎重に見極めていく必要がある」と述べるにとどめた。
【唯一の被爆国、日本も批准を!】広島で集会
同条約には米露など核保有国だけでなく、米国の「核の傘」に依存する日本なども参加しておらず、実効性の確保が課題になっている。加藤氏は「この条約が目指す核廃絶というゴールは我が国は共有している」と述べる一方、核実験や弾道ミサイル発射を繰り返す北朝鮮などを念頭に「我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中で、抑止力の維持・強化を含めて脅威に適切に対処しながら、地道に現実的に核軍縮を前進させる道筋を追求することが適切だ」と指摘した。
現在の核拡散防止条約(NPT)は、米露英仏中の5大国に核保有を認めている。加藤氏はNPTによる核軍縮を各国に呼びかける考えを示し、「核兵器国と非核兵器国の橋渡しとなるよう一層積極的に取り組みたい」と語った。
一方、公明党の山口那津男代表は26日の党会合で、核兵器禁止条約の締約国会議へのオブザーバー参加を改めて求めた上で、「被爆地の広島・長崎で会議を誘致する動きがある」と指摘し、日本開催に意欲を示した。【佐藤慶、立野将弘】