オリンパスの巨額損失隠し事件をめぐり、会社に損害を与えたとして同社と株主が旧経営陣に賠償を求めた訴訟で、最高裁第1小法廷(池上政幸裁判長)は森久志元副社長(63)、山田秀雄元常勤監査役(75)の上告を退ける決定をした。22日付。菊川剛元会長(79)と2人に計約594億円の支払いを命じた2審東京高裁判決が確定した。
【表】経営陣の賠償責任が焦点になった主な訴訟
株主が経営陣の責任を追及した訴訟で確定した賠償額としては、国内最高額とみられる。
昨年5月の高裁判決は1審東京地裁と同様、金融商品取引法違反罪で有罪が確定した菊川元会長ら3人が損失隠しを主導したと認定。原資がないのに配当したとして、約587億円の賠償責任があるとした。さらに、法人としての同社が有罪判決を受けて納付した罰金7億円も支払う義務があるとして増額した。
地裁は平成29年、旧経営陣6人(1人は死亡)に計約590億円の賠償を命令。うち元取締役の1人は控訴を取り下げて確定し、元社長2人への請求は高裁が棄却していた。