極端紫外線(EUV)工程を持つ華城(ファソン)キャンパスファウンドリの生産ライン[写真 サムスン電子]
サムスン電子が7-9月期に67兆ウォン(6兆1800億円)近い売上を上げ、分期別最大記録を更新した。営業利益も前年同期比で60%近く上昇し、2年で最大実績を塗り替えた。新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)によるペントアップ(繰越)需要が出て、モバイルと家電販売が増え、中国ファーウェイへの制裁により半導体部門で反射利益を享受したことも一助となった。
サムスン電子は29日、公示を通じてことし7-9月期の業績を集計した結果、売上高66兆9642億ウォン、営業利益12兆3533億ウォンを記録したと発表した。前年同期と比較すると売上高と営業利益がそれぞれ8%、58.53%増加した。特に売上高は2017年10-12月期にあげた分期別売上高の最大値(65兆9800億ウォン)の記録を更新した。
営業利益も「半導体超好況期」に記録したものとほぼ同等の実績を出した。サムスン電子の分期別営業利益が10兆ウォンを超えたのは2018年10-12月期(10兆8000億ウォン)以来7四半期ぶりだ。同年7-9月期には17兆5700億ウォンを記録した。2017~2018年にはグローバル情報技術企業のサーバー増設ブームでメモリー半導体の需要が大幅に増加した時期だ。
事業別に見ると、半導体部門の善戦が顕著だ。半導体部門は売上高18兆8000億ウォン、営業利益5兆5400億ウォンを記録した。前年同期比の売上高は7%、営業利益は81.64%増加した。主力製品のDRAMとNAND型フラッシュメモリの価格が7-9月期に下落したが、新型コロナによるモバイル・PC需要の増加により販売数が増加した。ファウンドリ(半導体委託生産)は、クアルコムなど新規受注が増え、四半期最大の売上を達成した。米国のファーウェイ制裁による反射利益も大きかった。サムスン電子の関係者は「ファーウェイが在庫確保のためにD-RAMとNAND型などの半導体の緊急注文を増やしたことも業績にプラスの影響を与えた」と説明した。
スマートフォンも予想より良い結果を示した。IM(スマートフォン)部門は売上高30兆4900億ウォン、営業利益4兆4500億ウォンを達成し、13四半期ぶりに4兆ウォン台の営業利益を超えた。7-9月期に、下半期の戦略スマートフォンギャラクシーノート20と折りたたみスマートフォンのギャラクシーZフォールド2など相次ぐ主力商品発売と中低価格モデルの需要回復によりスマートフォンの販売が前期に比べて大幅に拡大したことが分かった。サムスン電子はこの日のカンファレンスコールで「7-9月期の携帯電話販売台数は8800万台」と公開したが、これはこれまでの市場展望値(8200万台)を超える水準だ。家電(CE)部門は、売上高14兆90億ウォンに1兆5600億ウォンの営業利益を上げた。サムスン電子がCE部門で営業利益1兆ウォンを超えたのは今回が初めて。ディスプレイ(DP)部門では売上高7兆3200億ウォン、営業利益4700億ウォンを記録した。
7-9月期の驚きの実績は10-12月期までは続かず、多少鈍化するものと予想される。9月15日からファーウェイに対する米国の制裁が本格化し、半導体の供給が途切れるうえ、サーバー用DRAMの下落も10-12月期まで続くと予想されるためだ。ファーウェイは、サムスン電子の半導体の5大供給先の1つだ。更に、10-12月期にはマーケティング費用も大幅に増える見通しだ。アップルが現在、iPhone12シリーズを発売するなど、競合他社が新製品を発表しており、これといった競争作がいなかった7-9月期とは状況が変わった。ユージン投資証券のイ・スンウ研究員は「10-12月期には、ウォン・ドルの為替レートとファーウェイに供給してきた半導体販売の減少、7-9月期のセット部門出荷量の急増に伴う調整過程などで利益が鈍化すると予想される」と述べた。
一方、サムスン電子はこの日のカンファレンスコールで、25日に他界した李健熙(イ・ゴンヒ)会長を追悼した。サムスン電子は「李健煕会長は、サムスンを小さな電子会社からグローバルIT企業に変えた真のビジョン家」とし「特に1993年の新経営宣言は、グローバル社会の発展に貢献する最高の技術を提供するという同社のビジョン確立の大きな原動力になった」と述べた。また、「サムスン電子社員は皆、李会長の思い出を大切にする。彼の遺産は永遠」と付け加えた。