アメリカのイリノイ州シカゴにあるシューズストア「スナイプス(Snipes)」で、警備員からマスク着用を求められた2人姉妹が警備員を27回刺したと、10月27日の保釈審問で検察側が述べた。審問の様子はYouTubeで配信され、シカゴ・サンタイムズがこれを報じた。
姉妹は殺人未遂で起訴されたが、被告側の弁護士は自衛行為に対してそれは重すぎると主張したと、シカゴ・トリビューンは報じている。
アメリカでは、小売店で働く人々がマスク着用をめぐって激しく罵られたり、暴力を振るわれるなどしている。マスクの着用は、多くの州が公共の場で義務付けしているもので、公衆衛生の専門家たちも新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために推奨しているものだ。
10月25日、シカゴにあるシューズストア「スナイプス」をジェイラ・ヒル容疑者(18)とジェシカ・ヒル容疑者(21)姉妹が訪れると、警備員は2人にマスクを着用し、手の消毒液を使うよう声をかけた。
すると、妹のジェイラ容疑者が自分の携帯電話を取り出し、警備員を撮影し始めたため、警備員は携帯電話を取り上げようとしたと、検察側が法廷で述べた。保釈審問の様子はYouTubeで配信され、シカゴ・サンタイムズがこれを報じた。
姉のジェシカ容疑者がまずゴミ箱で警備員の顔を殴り、2人で警備員を殴打し始めたという。
そして、ジェイラ容疑者が警備員のからだを押さえつけている間に、ジェシカ容疑者がコーム(くし)に隠されていたナイフを取り出して警備員の頭や胴を27回刺したと、検察側は述べた。
同紙によると、姉妹は警備員を罵り、愚弄したが、警備員は2人の攻撃から逃れ、警察が到着するまで2人を店内に閉じ込めておくことができたという。
イリノイ州では10月27日の時点で、新型コロナウイルスの感染者数が38万人を超え、9568人が死亡。現在、公共の場でのマスク着用が義務付けられている。
アメリカの公衆衛生の専門家たちも、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ重要な手法として、マスク着用を推奨している。
警備員は病院へ搬送されたものの、手術は不要だとシカゴ・トリビューンが報じた。
シカゴ・サンタイムズによると、メアリー・マルビオ判事は27日の保釈審問で、「これは全くもってメチャクチャです。恐ろしい」と述べた。
姉妹に犯罪歴はないという。
シカゴ・トリビューンによると、姉妹の弁護士は保釈審問で、自衛行為に対して2人は過剰に告発されている、2人は双極性障害(躁うつ病)を抱えていると主張した。
アメリカでは、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために多くの州でマスク着用が義務付けられているが、それを拒否する客から小売店の従業員や周囲の客が激しく罵られたり、暴力を振るわれるケースが相次いでいる。
カリフォルニア州サンディエゴにあるスターバックスでは、店内でのマスク着用を求められた客がバリスタを罵る動画が撮影され、話題になっている。ニューヨーク州バッファロー近郊にあるバーでは9月、マスクの着用をめぐって言い争いの最中に80歳の男性が地面に押し倒され、4日後に死亡した。ワシントン州では8月、ホテルでのマスク着用をめぐって言い争いになった72歳の男性のあごを砕いたとして、35歳の男が逮捕された。
[原文:2 sisters stabbed a security guard at a Chicago shoe store 27 times after they were asked to put on masks, prosecutors said]
(翻訳、編集:山口佳美)