奈良トヨタグループは、トヨタ自動車のスポーツカー「MR2」の中古車を新車同様の姿にする「レストア(修復)プロジェクト」に取り組んでいる。修理などの技術伝承が狙いで、今年7月に着手。奈良トヨタの整備士14人が、部品交換などの作業を地道に続けている。
MR2は運転席と後輪の間にエンジンを搭載するミッドシップ方式を採用した国内メーカー初の市販車として昭和59年にデビューし、約20年前に生産中止になった2人乗りのクーペ。同社が修復するのは約30年前に登録された初代MR2(排気量1・6リットル)で、ボディーカラーがグレーの車だ。
レストアプロジェクトに参加しているのは19~53歳の整備メンバー。毎週木曜日を作業日にあて、奈良市南京終町の奈良トヨタグループ奈良本社で車体と向き合ってきた。
今月22日には同社の田原本本社で中間報告会を開き、車両から取り外したエンジンの分解、部品のさび落とし、塗装などの途中経過をスライドを使って報告した。
越田実・エンジンリーダーは「見た目だけではわからない損傷がフロントボードにあったり、フロアパネルに穴があいていたりしたほか、エンジン部品にさびが出るなど経年劣化していて、作業は難航した」と話した。
オリジナルの部品が少なく、パーツはオークションで競り落としたり、別の中古車から探し出したりして、苦労したという。
メンバーの一人で今年入社したばかりという西本崇也さん(22)は、「自分が生まれる前に製造された車に触れられるのはうれしい。普段、点検する車と違って、小さなボディーに対して部品が多いなど発見もあり、走らせるのが楽しみ」と目を輝かせた。
レストアプロジェクトでは、これまでに「スープラ」や「セリカ」なども手掛けており、MR2は6車目。修復が完了して、走行できるようになるのは年末の見通しだ。
完成車は社内で保管しており、将来は歴代レストアカーの展示も視野に入れている。