「鬼滅の刃」が後押しする“コスプレ新様式” 主流は密を避けた「旅の型」


「鬼滅の刃」が後押しする“コスプレ新様式” 主流は密を避けた「旅の型」

 人気アニメ「鬼滅の刃」が観光業界で“旅コスプレ”の広まりを後押ししている。

 JR九州は1日、映画「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」とのコラボ列車「SL鬼滅の刃」の運行を熊本―博多間で始めた。オリジナルグッズを車内で販売するほか、はかまや着物など、鬼滅の世界観と共通する大正時代風の服装の乗客には記念品を贈る。乗車には指定席券の購入が必要だが、既に完売する人気ぶりだ。

 10月には熊本県阿蘇市で地元NPO法人が、阿蘇山の自然や史跡をバックにコスプレ撮影ができる泊まりがけのツアーを開催。「鬼滅」コスプレを楽しむ人の姿が見られた。

 各地の古民家を利用した宿泊施設やレンタルスペースにも「鬼滅」が経済効果をもたらしている。これまでも古民家の雰囲気が和風キャラクターのコスプレ撮影にマッチすると、日本刀の名刀を擬人化したゲーム「刀剣乱舞」ファンらの間で人気だったが「鬼滅」がこれを加速させている。

 大阪市城東区にあり、大阪城の近くにある古民家ゲストハウス「緑家」の鈴木あきこさんによると、鬼滅コスプレが増え始めたのは今年1月から2月ごろ。ただ、直後に新型コロナウイルスの感染拡大で休業を余儀なくされ、大打撃を受けた。それでも再開した7月以降は鬼滅ブームで徐々に客足が回復。「Go To トラベル」参加の効果もあって「最近は満室の日も出始めた」と喜ぶ。

 背景には、コミケやニコニコ超会議、ハロウィーンなど大規模コスプレイベントが中止になった今年ならではの事情もある。コスプレーヤー兼コスプレ衣装造形師の五月うさぎさんによると「コスプレイベントはコスプレーヤー同士の同窓会のような面がある。今年は仲間が簡単に会えず、少人数で地方ロケをする人も増えているようだ」という。コロナ禍の新様式として、密を避けた“旅コスプレ”が定着しそうだ。(岩田 浩史)



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