北海道では10日、新型コロナウイルスの新規感染者が6日連続で100人を超えた。
東京都や大阪府などでも感染の高止まりが続いており、政府の対策分科会は9日夜、「急速な感染拡大に至る可能性が高い」として、対策強化を緊急提言した。感染症の専門家は「第3波に入った」「北海道の流行が南下する恐れがある」と指摘する。
東京医科大の浜田篤郎教授(渡航医学)は「北海道や東京などの状況を見る限り、国内の流行は『第3波』に入ったと考えていい」と話す。北海道での感染拡大は「『寒さ』で人が室内にとどまって換気をしなくなり、『乾燥』によってウイルスが飛びやすくなったことなどが要因とみられる」という。
北海道では、政府の観光支援事業「Go To トラベル」の対象に東京が加わった10月以降、感染者数が増え始めた。因果関係は不明だが、浜田教授は「東京追加による旅行客らの往来増がきっかけになった可能性がある」と分析。「早期の感染拡大防止を考えるなら、北海道は対象外にした方がいい」とした上で、「国は単に外すだけでなく、経済的な支援策といった補償もセットで考えるべきだ」と訴えた。
東京慈恵会医科大の浦島充佳教授(予防医学)は「北海道の人口規模を考えると、現在の感染者数は深刻だ」と語る。「冬が近づくにつれ、本州でも窓を閉め切って暖房を使うようになる。北海道の流行が南下することが予想される。感染者急増は北海道だけの問題ではない」と強調する。
浦島教授は「来月から来年1月にかけ、流行は全国でピークを迎えるとみられる」と警戒感を示し、「手洗い・うがいやマスク着用に加え、『3密』回避の徹底などの基本に立ち返るのが重要」と主張。「こまめな換気のほか、室内で大声が出やすい環境を避けることも重要だ」と呼び掛けた。