韓国のムン・ジェイン(文在寅)大統領は、パク・チウォン(朴智元)韓国国家情報院長を事実上の「特使」として菅義偉首相と会うようにしたことに続いて、“日本通”とされている韓日議員連盟のカン・チャンイル(姜昌一)名誉会長を駐日「大使」として内定し、日韓関係改善に対する意志をみせている。
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青瓦台(韓国大統領府)の報道官はこの日の午後の会見を通じて、駐日本国大韓民国大使館の全権大使に、カン名誉会長を内定したと伝えた。
安倍晋三前首相は、2018年10月の韓国大法院(最高裁)による元徴用工損害賠償判決に不満をもち、同年7月に対韓輸出規制を強化、8月にはホワイト国からの除外など 経済報復を断行したことで、韓国では日本製品不買運動が起こり、このように膠着した両国の関係は現在まで続いている。
文大統領は去る9月の菅義偉内閣の発足をきっかけに、膠着した日韓関係を転換するために努力している。文大統領は「元徴用工問題に関する両国の立場の違いがあることは事実だが、両政府と全ての当事者が受け入れられる最適な解決法を共に探していこう」とし、菅首相は「困難な問題を克服し、未来志向的な両国関係の構築を期待する」と語った。
パク院長は去る8日に訪日し、菅首相と日韓関係改善について話し合った。「キム・デジュン(金大中)・小渕宣言」につづく両国間の新たな共同宣言を提案し、韓国が年内開催を進めている日中韓首脳会談への参加を促したとされている。
文大統領が駐日大使を交代させたことも、このような流れの延長線上にあるとみられる。今回「日本通」とされているカン名誉会長が駐日大使に内定されたことは、日韓関係改善に拍車をかけたものだとみられている。
青瓦台の報道官は「カン名誉会長は、日本で修・博士の学位を修得し、学会で長い期間 日本についての研究をしてきた歴史学者だ」とし「特に 4選した国会議員としての経歴をもった政治家として、議員活動としての期間 韓日議員連盟の幹事長と会長を歴任した“日本通”だ」と説明した。
カン名誉会長は、日本による対韓輸出規制措置について「安倍政権は政治論理を経済問題に拡散させた」と批判していた。しかし 韓国政府に対しても「(韓国)政府も原則と名分にこだわったため、時期を逃した部分がある」とし「昨年12月から続いてきたことで、政治的原則と名分にこだわることなく解決していかなければならなかったのに、6・7か月が過ぎ、ここまできてしまった」と指摘している。
青瓦台の報道官はカン名誉会長について「菅内閣が新たに発足した中、対日専門性と経験、長い期間にわたって築かれた高位級とのネットワークを基に、絡まった日韓関係の糸をほどき、未来志向的な両国関係へと進んでいくきっかけ作りをするものと期待している」と伝えた。