ユネスコ世界遺産に登録された日本の端島(通称・軍艦島)に関連し、日本政府が強制徴用の暗い歴史を知らせず、自国に有利な内容で広報計画を立てたことが分かった。
【写真】台風で部分崩壊された「軍艦島」
韓国外交部によると、日本政府は最近、端島などの遺産の歴史的評価に関する「解釈戦略履行現況報告書」をユネスコ世界遺産委員会に提出した。
これに関連し、外交部当局者は「過去にユネスコで日本側代表は韓国人に対する強制労働を認めたが、報告書には強制労役者に関する定義自体が過去の日本代表の発言と全く違うものになっている」と指摘した。
続いて「現在、日本側が開館した情報センターには、一方的に日本人が証言する内容だけがあり、強制労役の事実に反論する資料も含まれている」とし「近代化の業績の裏の部分と暗い歴史があるということを知らせるべきだという趣旨だが、そのような内容がないというのは遺憾だ」と述べた。
2015年にユネスコ委員会は端島など「明治日本の産業革命遺産」(23施設)を世界遺産に指定し、施設に関する「全体(歴史的)事実を理解できる解釈戦略を用意すべき」と決定した。
日本政府はユネスコの勧告決定文履行レベルで今年6月、東京の新宿に「産業遺産情報センター」を開館し、今回の報告書を通じて関連内容をユネスコにも報告した。
しかし外交部によると、報告書は日本側の強制動員事実に関する説明よりも当時の劣悪な労働環境を一般的に紹介しているという。当時、韓国人だけでなく日本人の労働者も苦痛を受けたということだ。また「自発的志願」を暗示するなど強制徴用被害を否定する内容も含まれた。
「志願兵の鉱夫希望」(1941年8月、釜山日報)、「端島炭坑の鮮人坑夫、邦人坑夫と乱闘」(1918年7月の東洋日の出新聞)などが資料として提示されながらだ。これを通じて日帝による強制徴用よりも「日本人も共に苦痛を受けた時代的状況」という暗示が込められているという指摘だ。
2015年の登録決定時、ユネスコ委員会側に日本代表が「本人の意思に反して」労働が強いられた点を認め、こうした事実を知らせると約束したのとは距離がある。
一方、ドイツ北西部のツォルフェアアイン炭鉱は、第2次世界大戦当時にナチスドイツがユダヤ人と戦争捕虜を強制労役に動員した歴史的事実をそのまま知らせている。
日本側が報告書を作成しながら諮問した国際専門家グループも英国・オーストラリアの専門家で、韓国の専門家は含まれなかった。
これを受け、「全体の事実」を知らせるべきというユネスコ側の注文を、日本側がむしろ強制動員を正当化する手段として活用しているという懸念の声も出ている。産経新聞によると、安倍晋三前首相は退任後の今年10月、情報センターを訪問し、「いわれなき中傷をぜひはね返してもらい、 日本の力強い産業化の歩みを伝えていただきたい」と述べた。
日本のこうした動きに、韓国外交部は6月、ユネスコ側に遺産登録取り消しを含む「可能な措置を考慮すべき」という抗議書簡を発送した。しかし実質的に有効な対抗手段がない状況だ。歴史的な評価と解釈を問題にして遺産登録が取り消しになった前例はないという。
外交部当局者は「国際機構のユネスコがペナルティーを与えるのには限界がある」としながらも「来年の世界遺産委員会で抗議の意を公開的に明らかにする計画」と述べた。