「韓国人の酒」焼酎は数年にわたり、グローバル市場の扉を叩いている。「チャミスル」と「チョウムチョロム」がその先鋒に立っている。韓国の酒はKフードブームを追い風に「K酒類」としてすぐ人気を得るかに見えた。しかし、現実は期待と違った。
7日、韓国農林畜産食品部が発表した「2020海外韓国料理消費者調査主要結果」によると、外国人が「最も嫌いな韓国料理」に韓国酒(14.1%)が選ばれた。チキン、キムチ、プルコギなど他の韓国料理が人気を得ているのとは対照的だ。調査は米国ニューヨーク、中国の北京と上海、日本・東京、イタリア・ローマ、英国ロンドンなど海外16都市に居住する外国人8000人(韓国系除外)を対象に行われた。
◇「低価格の爆弾酒のイメージ…外国人が背を向けた」
酒類の専門家たちは、「外国人に焼酎が人気ないのは当然のこと」と冷静に評価する。高級蒸留焼酎ブランド「火堯(ファヨ)」を生産する広州窯(クァンジュヨ)グループのチョ・テグォン会長は、2005年に既存の焼酎より7倍の価格の高級焼酎火堯を発売し成功させた「酒類のグローバル化」の先駆者とされている。ソウルでミシュラン3つ星の韓国料理レストラン「カオン」を運営している。
チョ会長は「海外では時代に応じて料理と合う高級蒸留酒を楽しんできた歴史があるが、私たちはどんな料理にも希釈式焼酎ばかり押し出している」とし「のどごしがが良くなく、二日酔いがあるだけでなく、暴飲用の酒というイメージが強い」と指摘した。
文正薫(ムン・ジョンフン)ソウル大学農経済社会学部教授は、「Kフードが人気を集めた要因はコスパではなく個性」とし「酒自体の個性と味、香りを前面に出した製品だけが付加価値を創出し、世界市場で愛されることができる」と述べた。
2011年から5年間、キムチバスで36カ国一周に出たリュ・シヒョン作家は「海外の主要都市で韓国の食べ物は好評なのに比べて、焼酎はあまり肯定的な反応を得られなかった」とし「同じアルコール度数でも焼酎はワインとは異なり味と香りがないため、試飲した外国人が大きな反応を示さない」と述べた。
チョウムチョロムのメーカー、ロッテ七星(チルソン)飲料の関係者も「焼酎は低価格に高い度数で本来の味よりサムギョプサルやキムチ鍋のような塩辛い食べ物に合う食事用の酒程度の認識で、個性が表に出なかった」とし「海外市場では、果実液を添加して最初の苦味をなくした焼酎を前面に出している」と説明した。
◇規制を解除してラベルから変更を
チョ会長は昨年、国内ビールメーカーに課される税金システムを従価税(酒の製造原価を基準とした税金策定)から従量税(酒の容量とアルコール度数で税金を策定)に転換して生じた肯定的な変化に注目した。税負担が減少した中小企業の手作りビール会社が大きく成長したのだ。チョ会長は「焼酎も従量税基準に課税システムを変えるべきだ」とし「それでこそ、おいしい焼酎を作ろうとする企業の挑戦が続くだろう」と述べた。
業界では、販売チャンネルの拡大も求めている。伝統酒は、自社のオンラインモールとクーパンやGマーケットなど電子商取引(eコマース)チャンネルで販売することができる。しかし火堯や麹醇堂(ククスンダン)の百歳酒など国内プレミアム蒸留酒は、オンライン販売は不可能だ。伝統酒として認められるためには国が指定した職人または名人が手掛けたり、地元の農家が地域の農産物で作らなければならない。このような規定のため、米国ニューヨーク・ブルックリンで誕生した韓国焼酎「ウサギ焼酎」は、創業者のブランドン・ヒル氏が昨年、忠清北道忠州(チュンチョンブクド・チュンジュ)に農業法人を設立後、生産を始めて伝統酒として認定された、笑えない事態が起こっている。
韓国のお酒がワイン、ウイスキーと競争するには、「ストーリー」と「コンテンツ」が必要だという主張も出ている。3代にわたりマッコリ家業を継いでいるキム・ギファン砥平(チピョン)醸造代表は「海外では米で作った酒のイメージがなじみがなく、どのように飲むのかまでマーケティングしなければならない状況」とし「ラベルから整備する必要がある」と述べた。