韓国・EU間FTA労働紛争が残した罠

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韓国・欧州連合(EU)自由貿易協定(FTA)を根拠にEU側が提起した紛争解決手続きが25日、専門家パネルの報告書で事実上一段落した。パネルが「国際労働機関(ILO)核心条約の批准は努力条項であり、韓国はFTA協定文を違反していない」と明らかにしながらだ。EUが紛争手続きを開始(2018年12月)したこと自体に無理があるということだ。努力条項を義務条項と解釈して圧力を加えたのだ。EUとFTAを締結した国のうちこれを理由に紛争手続きが進行されたのは韓国が唯一だった。

紛争手続きが始まると、韓国政府としては利用価値が大きいと感じたようだ。文在寅(ムン・ジェイン)大統領の公約(ILO核心条約批准)を浮き彫りにする絶好の機会と考えたとみられる。貿易紛争事案ではないという点を知りながらもEUに一言も抗議しなかった。「努力している」と釈明する姿を露出した。EUの問題提起が世論を刺激するのに好材料だったのかもしれない。紛争手続きが終了する直前、労働組合法が通過した。ILO核心条約批准のための整地作業を終えたのだ。

そのためか、政府は急変した。紛争手続き開始前とは違い、25日に「遺憾」を表明した。パネル報告書に対してだが、一部では「EUとの紛争の効用価値を使いつくしたという判断」という解釈が出てきた。それでもまだ完全に捨てたわけではない。まだ利用できるところが残っているからだ。ILO核心条約の批准だ。

政府が遺憾を表明したのはパネル報告書に含まれた勧告事項に対してだ。特殊形態勤労従事者の労働組合加入を認め、労働組合の幹部に従業員以外の人でもなれるようその選任権限を労働組合に任せるべきという部分だ。企業別労働組合が中心の韓国としては受け入れがたい。政府は「努力条項を義務であるように圧力を加える」と見なした。

政府がこのように強い遺憾を表明したのは矛盾している。朴華珍(パク・ファジン)雇用労働部次官がこの日、パネル報告書を公開しながら「ILO核心条約が2月に国会で批准されるよう努力する」と述べたからだ。

パネルが勧告した事項はFTA上では「努力」条項だ。しかしILO核心条約を批准すれば「義務」となる。「遺憾表明」の対象にならない。無条件に守らなければならない。守らなければ貿易報復をはじめとする国際社会の制裁を受ける。パネル報告書の勧告が逆説的にILO核心条約批准の罠を案内したことになり、政府がILO核心条約に遺憾を表明した姿になった。

ILO核心条約が批准されれば苦労して通過した労働組合法も相当部分が効力を失う。ILO条約が法律的な効力を持つためだ。新法優先の原則に基づき従来の労働組合法と相反したり衝突したりする事案はILO条約を適用することになり、労働組合法の関連条項は廃止または停止の運命を迎える。

それだけではない。ILO核心条約が批准されれば軍服務の代わりに産業現場で勤務する産業技能要員、社会服務(公益勤務)要員、芸術体育要員、公益法務官など代替服務中の人が軍隊に行くことになるかもしれない。刑務所服役者が外部委託を受けて物を作ったり通勤生産するような社会復帰活動も禁止される。労働力を利用した強制労働禁止条約を違反する行為だからだ。軍の運営と服役者の社会復帰体系を全面改編しなければならない状況になり得るということだ。このような問題は手放しにされている。これを問題にして通商圧力など国際的な制裁が加えられればどう対応するのか疑問だ。

政府は敏感な軍服務問題に関しては積極的に釈明する。「現役として服務するのか、産業技能要員として勤務するのか、当事者が選択するよう選択権を与えれば問題はない」という解釈を出した。「誰が現役服務を選ぶだろうか」という点はさておき、これは政府独自の解釈にすぎない。ILO条約違反の判断は韓国政府でなくILOがすることだ。我々が問題ないと主張してもどうにもならない。

ILOはこの問題に関連し、韓国のように強制徴集をするトルコやエジプトが必要人員を超過した徴集兵を公企業や私企業に配置すると「違反」と判定した。2007年8月、韓国の質問にも同じ内容をすでに回答している。2009年と2012年のILO理事会での面談を通じた質疑にも、ILOはこうした立場を韓国に伝えた。「軍事的目的と関係がないことは兵役の義務と見なせない。ILO条約違反」という内容だ。こういうILOの立場は今まで一度も変わっていない。

政府が「ILO条約批准が難しい」という立場を堅持してきたのもこのためだ。しかし現政権になって突然「軍服務選択権」を前に出しながら「ILO条約違反でない。問題はない」と主張する。判断の主体であるILOを無視し、文大統領の公約を履行しようと国際社会の規範さえも都合よく解釈するのではという指摘が出ている。学界などは、こうした政府のガラパゴス式解釈で通商問題と制裁が浮上すればどうなるのかと心配している。下手をすれば通商圧力のトラップを我々が仕掛ける格好になりかねない。

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