韓国、顔認識AIを国産化…10兆ウォン規模の世界顔認識市場に挑戦


ハンファテックウィンは顔認識AIセキュリティソリューションを開発した。ハンファテックウィンのセキュリティシステム。[写真 ハンファテックウィン]
ハンファテックウィンは顔認識AIセキュリティソリューションを開発した。ハンファテックウィンのセキュリティシステム。[写真 ハンファテックウィン]

2018年、中国江西省南昌市で開かれた香港スター・ジャッキー・チュン(張学友)のコンサート現場。5万人の観客が集まった会場で、経済犯罪で指名手配中の男性が中国公安に逮捕された。犯人逮捕に導いたのは顔認識技術だった。出入口に設置されたカメラであぶり出され、逮捕された。2カ月間、中国各地で行われたジャッキー・チュンのコンサートで、公安は5人の指名手配犯を逮捕した。

韓国でも数万人の人ごみの中で特定の人物を探し出す状況が現実化する見通しだ。ハンファテックウィンは2日、顔の分析が可能な統合人工知能(AI)のセキュリティソリューションを発表した。インテルと合同でAI機能が搭載された録画装置(NVR)を開発したおかげだ。既存の国内AIセキュリティソリューションは、服やメガネ、バッグなどの所持品をベースに人を識別するが、この製品は顔認識技術で、特定の人物を確認することができる。ハンファテックウィンの関係者は、「監視カメラ(CCTV)、ストレージ、管制プログラムの段階でいずれもAI製品を保有している韓国企業はハンファテックウィンが唯一」と説明した。

現在、顔認識技術分野の先頭走者は中国だ。YITUテクノロジー(依図科技)、センスタイム(商湯科技)、メグビー(曠視科技)など、顔認識技術を持つユニコーン企業(企業価値が10億ドル以上のスタートアップ)だけでも何社もある。中国は政策としても顔認識技術の開発にかなり力を入れている。その結果、中国はセキュリティ分野だけでなく、生活の様々な場面で顔認識技術を活用している。警察署、役所からスーパー、マンションの入り口まで顔認識機が設置されており、これを身元確認・出入管理・決済などに連動させている。

米国も主要IT企業を中心として顔面認識技術を確保しているが、人権侵害の憂慮などから現在は開発が停滞している状態だ。顔認識技術「レコグニション」を保有するアマゾンは昨年6月に声明を発表し、今後1年間、米国警察にその技術の提供を猶予すると発表した。IBMも顔認識技術が大規模な監視、人種プロファイリング、人権侵害などの目的のために使われる可能性があるとし、関連事業を中断すると発表した。

「ビッグブラザー」の憂慮の中でも、関連市場は急速に成長している。KOTRA(大韓貿易投資振興公社)は2022年までに顔認識技術関連市場が90億ドル(約9450億円)規模に拡大すると予想している。韓国も市場がますます拡大する傾向にある。韓国科学技術情報研究院によると、韓国の顔認識市場規模は、2018年の1260億ウォン(約118億円)から昨年1500億ウォン台規模に成長した。しかし、韓国の独自技術開発のスピードは比較的遅い。中国などに比べて、研究開発(R&D)の規模が小さいためだ。顔認識技術開発メーカーのハンファテックウィンを除けば、ほとんど中小・中堅企業だ。このため、韓国企業の中には海外メーカーの顔認識技術を活用しているケースも多い。LG CNSは昨年麻谷(マゴグ)・LGサイエンスパーク所在の本社のゲート26カ所に顔認識出入サービスを導入した。マスクや眼鏡を着用しても0.3秒で顔を識別し、出入り口を開放する。このシステムには、中国のセンスタイムの技術が適用された。最近、AI顔認識・出入管理システムの開発に成功したペ・ジョンホ韓国電気研究院(KERI)博士は、「国内では各種規制法により技術開発に制約が多い」とし「顔認識技術市場が急成長しているだけに関連サービスの発展のため、関連法を見直し、補完策を設けなければならない」と述べた。



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