赤い惑星の上に5隻の探査船…火星移住、現実になるか

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インド火星探査軌道船「マンガリアン」[中央フォト]
インド火星探査軌道船「マンガリアン」[中央フォト]

ここまで来れば「火星侵攻」だ。1964年11月、米国のマリナー4号が火星の近くまで飛んで写真撮影に成功して以来、これまで50回近く各国の探査船が火星に向かって飛んでいった。しかし、今のように火星の土地と空が地球人の「モノ」として込み合ったことはなかった。

19日午前5時55分(韓国時間)、米国航空宇宙局(NASA)ジェット推進研究所(JPL)の火星探査ローバー「パーサヴィアランス(Perseverance)」が火星の赤道の北側でクレーター(crater)に安着することに成功した。パーサヴィアランスは、今後少なくとも2年間、火星で生命体の痕跡を探し、土壌標本を収集する予定だ。JPLのマイク・ワトキンス所長はこの日、「今回の着陸成功は今後行われる有人火星探査の道を開くことになるだろう」と述べた。 

◆地球探査船で煩雑な火星

パーサヴィアランスは「赤い惑星」火星の孤独な探査ローバーではない。赤道の南側にあるゲール・クレーター内部のアイオリス平原にはNASAの別の探査ローバー「キュリオシティ」が、その近くの北側には固定型探査船の「インサイト」が活動中だ。寿命を全うした探査ローバーまで含めると、火星は一層手狭だ。1997年7月に人類初の探査ローバー「ソジャーナ」が火星に降り立ち、2004年1月に到着した初の双子の探査ローバー「スピリット」と「オポチュニティ」が火星の赤道付近で活動後、赤いホコリをかぶって眠っている。歴代のローバー5機はいずれもNASAジェット推進研究所の作品だ。

19日、パーサヴィアランスが第一歩を踏み出した時刻、火星の上空には米国の軌道船のほか、欧州の探査船、インドの「マンガリアン」、中国の「天問」1号、アラブ首長国連邦(UAE)の「アル・アマル」などが数百キロメートルから数十万キロメートルの高度の軌道を回っていた。中国とUAEの火星探査は今回が初めてだ。

◆なぜ火星探査に押し寄せるのか

今、なぜ火星なのか。パーサヴィアランスと共に昨年7月に地球を出発した中国の天問1号とUAEのアル・アマルが10日、火星上空に相次いで到着した。まず2021年2月に火星の空に地球の宇宙船が押し寄せる理由から。地球から火星に行くことができる近道は常に開いているわけではない。太陽を中心に地球より外側にある火星の公転周期(1年)は、地球の倍近い687日だ。それぞれの公転軌道で地球と火星が最も近づく時期が地球~火星間の近道が開かれる「ゴールデンタイム」だ。この時に行けば6~7カ月以内に火星に到着することができる。今、火星の空が込み合う理由だ。

なぜ火星探査なのか。火星は、無人探査でも少なくとも数兆ウォン(数千億円)の費用がかかる。それでも、世界の主要な宇宙大国が火星探査競争を繰り広げる理由は何か。

JPL宇宙環境グループ長を務めたチョン・インス首席責任研究員は20日、「月はすでに探査した国があり、その次に人類が探査を推進している惑星の中で最も現実性があるという評価を受けている惑星が、地球のすぐ隣の火星」とし、「生命体の存在に関する科学的好奇心以外にも国力の誇示など多様な理由から世界の主要国が火星探査に飛び込んでいる」と述べた。

UAEの火星探査機プロジェクト総括責任者のオムラン・シャリフ氏は、昨年7月にインタビューで「UAEは石油時代以降の未来を準備する知識基盤経済を作ろうとする目的がある」とし、「アラブの青年が、現実に安住せずにチャレンジ精神を持つことができるように夢と未来を植え付けるためのきっかけも必要だった」と述べた。

◆最低2年以上かかる有人探査

無人探査はいっても有人探査はまた、どうだろう。米NASAは公式に2030年代の有人探査を目的としている。宇宙企業スペースXの最高経営責任者(CEO)のイーロン・マスク氏は、更に2026年以前に有人宇宙船を火星に送り、2050年までに火星に100万人を送る計画だと述べている。

火星有人探査には、無人探査とは次元の異なる費用と技術が必要だ。NASAが30年前の1989年に計算した火星有人探査研究費だけでも5000億ドル(現レートで約52兆7500億円)に及ぶ。パーサヴィアランスのように、無人探査は一度火星に到着すれば成功だが、有人探査は行ってから地球に帰還しなければならない。

問題は、有人探査には少なくとも2年以上かかるという点だ。宇宙の近道で単純に行って帰ってくるだけで13カ月以上かかる。しかし、そんなに早く帰ってくるのは不可能だ。宇宙船が6~7カ月飛んで火星に到着すれば、その後地球と火星の間の距離は徐々に遠くなる。したがって、地球と火星が再び近づく時期まで1年余り待ってから出発しなければならない。無人宇宙船とロボットは燃料エネルギーがあればいいが、人間は火星に向かう間、水と食料・酸素が必要だ。火星に滞在する間も、戻ってくる時も同じくらいの水と食料・酸素が必要だ。地球からそれだけ貨物を積んで行くか、または火星現地で資源を調達するしかない。

韓国天文研究院宇宙科学本部のムン・ホンギュ責任研究員は「NASAは、現地でエネルギーなど相当部分を調達することを前提に、火星有人探査計画を立てている」とし、「科学者がこれまで火星で水があるかを執拗に探した代表的な理由の1つでもある」と述べた。

◆火星はパラダイスではない

もっと踏み込んでみよう。イーロン・マスク氏などが語る「火星移住」は何を意味するのだろうか。英国の宇宙物理学者スティーブン・ホーキング氏(1942~2018)は、「人類が今後100年以内に別の惑星に植民地を建設できなければ、地球で絶滅するだろう」とし、「2030年までに月面基地を建設し、2025年までに火星に人を送らなければならない」と主張した。ホーキング氏は人類絶滅の理由として、気候災害と核テロ、小惑星衝突などを挙げた。

しかし、火星はパラダイスではない。人間が火星の地に裸でさらされた場合、わずか5分も生きることができない。火星の大気はほとんど二酸化炭素で構成されている。酸素は0.1%に過ぎない。気温は赤道付近でのみ昼間に20度になり、夜は零下85度まで下がる。地球とは異なり磁場がなく、太陽から降り注ぐ宇宙放射線にさらされている。唯一の希望は、氷の形の水があるという点だが、これも地球の移住民持続的に利用できるほどではない。火星移住を語る人は火星の環境を地球のよう変える「テラフォーミング(Terraforming)」のことを話したりするが、もし可能だとしても、数千、数万年かかるというのが宇宙科学者の判断だ。

◆火星、欲望のパンドラが開かれた

天文学的費用をかけて火星を有人探査する費用と努力で地球を生かすのが先だと言う人も少なくない。スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥーンベリさんが代表的だ。グレタさんは19日に公開した動画で「火星移住はわずか1%人類のためのもの」とし、「99%の人類のために気候変動を防がなければならない」と主張した。

天文研究院のムン・ホンギュ責任研究員は、「人類の血の中には、新しいことに対する好奇心と挑戦の無限の欲望が隠れている」とし、「過去に大航海時代、海に向かって競うように旅立ったように、今は宇宙に向けた人類の無謀な挑戦が続くほかない」と述べた。

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