政界の一角で韓国の財政健全性水準が経済協力開発機構(OECD)加盟国のうち良好な水準という主張を出しているが、こうした主張は誤っているという国策研究院の指摘が出た。ドルやユーロなどを使う基軸通貨国を除いた非基軸通貨国と比較すると国の債務比率は高い水準で、基軸通貨国とは比較自体が無理という診断だ。
韓国租税財政研究院が8日に刊行した「海外財政動向とイシュー分析」に掲載された「基軸通貨国と非基軸通貨国間の財政余力差」と題する報告書によると、韓国の国内総生産(GDP)比の一般政府債務比率は2019年基準41.9%でOECDの非基軸通貨国で6位を記録した。
基軸通貨であるドル、ユーロ、円、スイスフラン、カナダドルなどを使う米国、日本、ドイツなど23の基軸通貨国を除いた14カ国を対象に集計した順位だ。
韓国の債務比率水準はOECD全体平均である65.8%よりは低いが非基軸通貨国平均値の41.8%よりは高かった。非基軸通貨国のうちハンガリーが66.3%で最も高く、イスラエルが60.0%、メキシコが53.7%、コロンビアが52.3%、ポーランドが46.0%の順だった。
租税研は報告書で、「非基軸通貨国の韓国は基軸通貨国とは状況が違い、全体平均と比較するのは問題があり得る」と指摘した。
政界など一角で韓国の国の債務比率がOECD国平均より低いという理由で果敢な拡張財政政策を展開すべきと主張するのを正面から反論したのだ。
報告書は基軸通貨国の政府債券と非基軸通貨の債券は需要で大きな差が現れると伝えた。基軸通貨国の債券は国際取引に常に利用され、国際金融市場で安全資産としての需要があり、外貨準備高を高める役割もするが、非基軸通貨国の債券はこうした役割をできないということだ。
租税研は韓国をはじめとする非基軸通貨国の債務が急増する場合、リスクプレミアム増加と需要不振による金利上昇が懸念されると明らかにした。これにより経済成長余力が減り、国の信頼度下落と財政危機などを引き起こしかねないという懸念も示した。
租税研は「非基軸通貨国の韓国は政府債券に対する需要が基本的に他の基軸通貨国に比べてはるかに少ない。基軸通貨国とGDP比の負債比率を比較した後にこれらの国と比べて低いので財政余力が豊富だという結論を下すのは無理な結論だけでなく危険な結論」と批判した。
洪楠基(ホン・ナムギ)副首相兼企画財政部長官も最近フェイスブックで「OECD加盟国のうち基軸通貨国の債務比率が2019年平均で100%を超えるのに対し、非基軸通貨国の債務比率は50%を超えない水準という点に留意する必要がある」とした。